周防正行監督「ユニークな映画のつくりかた」 「なんだ、その程度か」と思ったら終わり

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――次回作の構想は?

実はもう準備しています。内容は言えませんが、企画自体はずいぶん前のもので、ずっとやりたかったのですが、なかなか巡り合わせが悪くて実現できなかった作品です。プロデューサーからは、「やっぱりあれを頑張ってやりましょう」と言われました。まだシナリオもできていないのに、「スタジオを押さえました」っていうから、「それはやめてよ」って言っているんだけど(笑)。

――『Shall we ダンス?』から次作まで11年もの間が開きましたが、昨年と今年と公開が相次ぎましたね。寡作の監督というイメージがありました。

ずっと撮っていなかったので、このペースでも「えっ、また撮るんですか」って言われる。ジャンルにもまったくこだわりません。さっきも言ったように、自分の狭い枠の中で事象を捉えて作品化するのではなく、自分の知らない世界に飛び出して表現の枠を広げたいんです。特撮映画になる可能性だってありますよ。子どものころは怪獣映画が大好きでしたからね。

実は『Shall we ダンス?』のあとに「どうも徳間康快さん(徳間書店の初代社長で大映社長も歴任)は周防さんに『大魔神』を撮ってほしいみたいですよ」という噂を聞いたこともあります。だからなるべく自分の枠を作らない。枠があるとするならば、それは「撮りたいものしか撮りたくない」という枠で、それだけは守っていく。生活のためにやる、というようなことはないようにしようと頑張っています。

(撮影:尾形 文繁)


『終の信託』
全国東宝系にて上映中
(C)2012 フジテレビジョン 東宝 アルタミラピクチャーズ
上映時間:144分
公式HP:http://www.tsuino-shintaku.jp

すお・まさゆき●1956年生まれ。1984年に『変態家族 兄貴の嫁さん』で監督デビュー。1996年の『Shall we ダンス?』が国内外で注目を集めた。その後も『それでもボクはやってない』(2007年)、『ダンシング・チャップリン』(2011年)などを発表。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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