三越伊勢丹HDが誕生 統合効果は2年後から
三越と伊勢丹が経営統合し、国内最大の百貨店グループとなる三越伊勢丹ホールディングスが誕生した。昨年8月に統合発表して以来、準備を進めてきた両社。だが、その間にも三越の業績はさらに悪化していた。2007年度の営業利益は、期初計画の154億円から、2度の下方修正を経て、前年比32%減の85億円と減収減益で着地する見通しだ。片や、衣料品の不振に苦しみながらも着実に業績を伸ばしてきた伊勢丹。両社の収益力の格差はいっそう拡大した。
統合発表時に掲げた新会社の営業利益目標は、5年後に750億円。内訳は、伊勢丹で450億円、三越で300億円だが、現在も目標は修正していない。武藤信一会長は「挽回できる。大丈夫」と断言。消費低迷は当面続くが、目標は達成すると強調した。
統合の大きな柱である、情報システムなどの一本化が完了するのは10年度。それまでは課題を洗い出し、基盤を固める時期に充てるという。新会社の初年度営業利益計画は340億円。統合費用の増加により実質減益を見込んでおり、07年度の両社見通し合計の82%にとどまる。
昨年9月、大丸と松坂屋が経営統合して誕生したJ・フロントリテイリングでは、すでに松坂屋の利益率に改善が見られ、初年度から統合効果が顕在化している。それに比べると、いかにも慎重な計画。だが、内部では相当なスピードアップが求められることは言うまでもない。三越の本気度が試される。
(堀越千代 撮影:田所千代美 =週刊東洋経済)
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