【産業天気図・銀行業】不況下で基礎的な収益力の低下が続く、金融政策により損失発生は抑制


 また、経営が苦しい中小企業を支援するための保証協会の100%保証つきの融資(緊急保証制度)は出続けたが、これも、「一巡してきた」との声が地銀から聞かれる。手元資金に余裕のある企業は、生産を調整して均衡を図っている一方で、資金繰りの苦しい企業は、これ以上借りると金利支払いで倒れかねない状況に追い込まれているからだ。その証拠に、大型倒産は出なかったものの、緊急保証制度がスタートした昨年の10月以降も、月次の倒産件数は前年同月比で全く減っていない(前年割れしたのは今年5月のみ)。
 
 しかも、利ザヤは縮小している。政策金利の2度にわたる引き下げで、貸出利回りが低下。投資有価証券の利息や配当金も下落している。調達側の預金金利も下がっているとはいえ、もともと低いので、低下に限界がある。
 
 ボリュームも利ザヤも下がる中で、銀行の本業による資金利益はジリジリ低下する方向だ。
 
 手数料収益も、昨年の後半よりは足元改善しているとはいえ、反発力は弱い。個人への投信販売の手数料も、法人向けの為替やデリバティブの手数料も上がり難い。
 
 銀行は実体経済を映す鏡であり、経済活動が停滞すれば、資金の流れは不活発になる。当面、基礎的な収益がジリ貧なのは致し方ない。小規模で収益力が小さい第二地銀などは、地元で一つでも大口倒産が出れば赤字になりかねない。現状のような小康状態が続くことを祈るばかり。今年後半~来年前半も要注意である。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナショックの大波紋
  • 就職四季報プラスワン
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • コロナ戦争を読み解く
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
“臭いものに蓋”で終わるのか<br>JDI「不正会計」の晴れぬ闇

ジャパンディスプレイが不正会計について、第三者委員会調査報告書を公表しました。しかしその内容は有識者8人のうち7人がF(不合格)の格付けをするほどの低評価です。自殺した社員に責任を押し付ける報告書の詳細をリポートしました。