ゴルファー憧れの終の住処

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キャスター/小倉智昭

 今年もハワイに行けなかった。初の2週間という長丁場の夏休み。選挙の日程がなかなか決まらなかったため、海外のプランが立てられず、北海道でゴルフざんまい。前半は雨にたたられ、梅雨の東京とさして変わらぬ状況下のプレーだ。スカッと青空が広がる北の大地はどこへやら、環境の変化が北海道でも著しい。

ハワイのゴルフ場だとゲーテッド・コミュニティで、存分にゴルフが楽しめる。マウイ島のワイレア、カパルア、ハワイ島のマケナ、マウナラニ、新しい所ではホクレア。これらすべて、ゴルフ場のゲートの中に住居があり、目の前にフェアウエイが展開する。分譲の別荘だったり、コンドミニアムかヴィラだったり、形は多少違うが、ゴルファー憧れのフェアウエイフロントだ。各オーナーが1週間単位で貸し出すことが多く、それを借りるとゴルフ場の予約も取れるし、プライバシーも守られる。大半はドライビングレンジも無料で、芝の上でボールが打てる。しかも、住民かゲストしかプレーが許されない所もあり、他人の目が気になる私などには大変ありがたい。

日本にはなぜ、同じようなゴルフ場が生まれないのか。常々、疑問を感じていた。千葉の季美の森ゴルフ倶楽部は確かにフェアウエイフロントの家があるものの、すべてゲートの外だ。水上高原ホテルに隣接するゴルフ場内に数軒の別荘は点在するが、あれも特例で、ごく一部の人の別荘にすぎない。どうやら日本は法律が厳しく、森林法、都市計画法、諸々条件があって、造りたくてもできないのが現状だという。したがって、ゴルフ場内に家を持ちたければハワイなどに別荘を持ち、飛行機代を払って行くのが関の山。超ぜいたくな生活ではあるが、バブルはじけてそれも失い、「何回行ったかなァ」と悲しむ人もかなりいる。

ところが、そんな日本に注目のゴルフ場がオープンする。千葉県富津の富津ブリストルヒルだ。9月にオープンするこのゴルフ場は、おそらく関東では最初で最後のゲーテッド・コミュニティになるだろう。ほぼ80区画の分譲と、数棟のヴィラが売りに出されている。大きく宣伝はせず、口コミで販売するので、メディアには登場しないが、ゴルファーには夢のコースに違いない。

バブル当時、リゾート法の適用で敷地内にゴルフコースと、それを取り囲むように分譲リゾートマンションの建てられる計画があった。しかし、これまたご多分に漏れず、バブル崩壊。開発工事の止まったゴルフ場を買い取って、ゴルファーのニーズに応えようという企業が現れた。完成までこぎ着けるにはかなりの苦労があったと思う。自分の家をカートで出て近いホールからプレーできたり、テニス、プール、エステ等、クラブライフが充実。何よりもうれしいのはコースが完成したばかりなのに、コンディションがすばらしいことだ。終(つい)の住処(すみか)にいいだろうな。

キャスター/小倉智昭(おぐら・ともあき)
1947年秋田県生まれ。東京12チャンネル(現テレビ東京)アナウンサー出身。76年フリーに。現在は『とくダネ!』(フジテレビ系)や『嵐の宿題くん』(NTV系)、『小倉智昭のラジオサーキット』(ニッポン放送)の司会を務めるなど、幅広く活躍中。
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