『襲われて』を書いた柳川喜郎氏(前岐阜県御嵩町長)に聞く
たとえば岐阜県内に1箇所ほしいというなら、当時99の市町村があり、そこで候補地を出してもらう。それを客観的、科学的かつ総合的に、たとえば県とか信頼できる機関が精査して絞り込んでいく。同時に、絞り込みの過程はすべて情報公開する。かくかくしかじかの理由でここ、と特定するやり方だったら、御嵩町民にしてもおそらく納得しただろう。
ところが、御嵩町の場合、業者が産廃をどれだけ埋められるか、谷が大きければいいという具合で申請した。木曽川が流れていようが関係なく選んで、そこを県が追認した。
--業者は儲かればいい、と。
専門家に聞くと、クスリ業界と並んで産廃業界は利益率が高い。いちばんおいしいのは最終処分場とも。
産廃を表のビジネスに引っ張り出すべきだ。たとえばアメリカでは、かつては裏のビジネスだった。しかしいまは売り上げ1兆円を超える大産廃会社さえある。情報公開して、はっきり世間に示せる世界にしないといけない。
日本も4年前に産廃会社の評価制度をつくっている。各県で点数をつけて、優良業者のお墨付きを出す。ところが、ほとんどの県で実施されていない。産廃業者の優良化のための制度だったが、いまのままでは絵に描いた餅だ。
--産業廃棄物をどう処理したらいいのでしょうか。
まず処理せざるをえないものを極力出さないことだ。出たものはなるべく自分の工場の中でリサイクルして使う。また、技術開発が必要でカネがかかるが、減量化する。それから手間隙とカネをかけて無害化する。それでもなおかつ少量の有害物が出てくる。それをどうするか。