「生活保護でパチンコ通い」は、なぜOKなのか まずはギャンブル問題の予防・啓発強化から

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日本はギャンブル施設への法規制が弱く、誰もがギャンブル問題を抱えやすい(写真:Flatpit / PIXTA)

大分県別府市が、パチンコ店と競輪場を訪れていた生活保護受給者25人を指導・指示し、そのうち9人の保護費支給を1~2カ月間にわたり一部停止とする処分を下した問題をめぐり、弁護士らでつくる市民グループが3月9日、「市の処分は違法だ」とする意見書を別府市長などに提出した。

市社会福祉課の担当者は弁護士ドットコムニュースの取材に「意見書の内容に異論はない」と答えた。市の処分が違法であることを認めたかたちだ(編集部注:その後別府市は、2016年度からこの処分を行わない考えを示している)。

弁護士や司法書士、支援者などでつくる生活保護支援九州・沖縄ネットワークと生活保護問題対策全国会議が、意見書を提出した。生活保護支援九州・沖縄ネットワークの事務次長をつとめる河野聡弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に「生活保護の利用は権利として認められている。倫理的な側面から抑制しようとすることは問題だ」と話した。

別府市は大分県の中でも受給者が多い地域

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

別府では、市職員などで構成するケースワーカー35人が昨年10月、市内にあるパチンコ店と市営競輪場を調べて回り、生活保護受給者25人を発見し、文書による指導・指示を行った。そのうち、期間中に2回以上訪れていた9人については、保護費支給を1~2カ月間、一部停止とする処分を下した。

市社会福祉課によると、こうした調査は25年以上前から、年1回程度行っている。背景には、別府市の生活保護受給率が高いことがあるという。市社会福祉課の担当者は弁護士ドットコムニュースの取材に「別府市の人口約12万人のうち、約4000人が生活保護を受給している。1000人あたり約32人で、大分県平均の2倍近くになる」と説明した。

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