「兼業OK」の企業はこんなリスクにさらされる 導入にはさまざまな「制約」が必要になる

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「裁判例では、そのような制約は、(1)労務提供への支障(休養を取れず自社での業務に支障がないか)、(2)会社の職場秩序を乱したり信用等を害したりするか、(3)会社との競業や経営上の秘密の漏洩の可能性、といった点から、必要がある場合に限定して認めています。

報道発表資料によれば、ロート製薬でも、兼業を無条件で認めるわけではないようです。ただ、これまで多くの会社では、さきほど述べたような服務規定で、兼業を容易に認めない姿勢が示されてきました

こうしたことと比較すると、兼業のメリットを積極的に認め、社員が兼業しやすい環境を制度として整えたという点で注目に値すると思います」

「労働提供への支障」はどう判断するのか

「兼業を積極的に認める制度を導入する場合でも、さきほどの(1)~(3)の点からの制約は必要だろうと思います。事前申請による許可制とし、自社での業務に支障があれば、許可を取り消す制度としておく必要はあると思われます。

ただ、兼業状況は社員の申告内容を前提に把握・判断せざるを得ないことも多く、たとえば上記(1)の『労務提供への支障』という点は、兼業したから自社の業務に支障が生じたと容易に判断できる場合も多くはないと思います。

制度の導入に際しては、運用の際に判断に迷う可能性のある場合も想定した上で、そのような場合の対応方針(許可条件をより具体的に決めるか、個別に対応するかなど)も含めて検討する必要があると思います」

近藤弁護士はこのように分析していた。

近藤 麻紀(こんどう・まき)弁護士
2000年4月に弁護士登録。法律事務所と地方公共団体での勤務を経て、弁護士法人ベリーベスト法律事務所に入所。使用者側の人事・労務分野に関する相談・交渉・裁判対応を含む企業法務案件に従事する。
事務所名:弁護士法人ベリーベスト法律事務所

 

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