「横暴すぎる老人」のなんとも呆れ果てる実態 暴力、セクハラ、万引き…社会は耐えきれるか

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高齢者による犯罪も深刻な問題だ。一般刑法犯の検挙人員数を年齢別に見ると65歳以上は約4.7万人に上り、14~19歳に次ぐ水準だ。全体の数は約25万人と10年前から3割強も減少しているにもかかわらず、高齢者の数は約1割増加している。高齢者犯罪で最も多いのは窃盗で約3.5万人と断トツで10年前と比べて約3割増、暴行(約0.35万人)は約4倍、傷害(0.16万人)も約5割増となっている

年をとれば穏やかな性格になり、好々爺然としてくる――というイメージを抱いている人は多いかもしれない。だが実は高齢者の暴言やエキセントリックな言動など「キレやすくて自己中心的」になるのは必然だという。

加齢によって脳の機能が低下

ヘタに注意をしようものなら・・・・(写真:F.こっトン / PIXTA)

人の感情をつかさどる脳は年を重ねるごとに萎縮することが明らかになっている。萎縮に比例して脳の機能は衰えるため、物忘れのような老化現象が現れる。そして脳の中で早い段階から萎縮が始まるのが、衝動の抑制や理性、意欲などを担う「前頭葉」。これによって感情抑制機能の低下、判断力・意欲の低下などが起こる。それ以外にも喫煙や飲酒などの長年の生活習慣によって脳の機能低下は起こる。

いまや日本の人口の4人に1人が65歳以上の高齢者だ。2060年には2.5人に1人になると推計されている。上記の迷惑行為に限らず、高齢者をめぐる課題は今後もさらに膨らむとみられる。年老いた親を抱える現役世代にとっても人ごとではない。

議論の方向性を間違うと深刻な世代間対立にもなりかねないが、肝に銘じておかなければならないのは、誰もがいずれ高齢者になるということだ。多様な高齢者を社会としてどう受け入れていくのか。その態勢作りが不可欠になっている。

中島 順一郎 東洋経済 記者

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なかしま じゅんいちろう / Junichiro Nakashima

1981年鹿児島県生まれ。2005年、早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、東洋経済新報社入社。ガラス・セメント、エレクトロニクス、放送などの業界を担当。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などを経て、2020年10月より『東洋経済オンライン』編集部に所属

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