SFCGの二重譲渡問題、ついに法廷闘争へ発展か
2月のSFCG(旧商工ファンド)の経営破綻に伴って発覚したローン債権の二重譲渡問題が、新たな展開をみせようとしている。
債権を譲り受けた一部の信託銀行がもう一方の譲受先である日本振興銀行に対し、自らの債権所有の正当性を立証すべく、法的手段に出る見通しが高まっているからだ。
未曾有の二重譲渡問題は、資金調達難に直面したSFCGが同一のローン債権を証券化する一方、日本振興銀行にも譲渡したことから起きた。その規模は最大700億円にも達し、多くの場合、先に証券化したローン債権を後日、日本振興銀行へ譲渡するパターンだったとみられる。
重要な焦点である譲り受け債権に関する第三者対抗要件は、その譲渡登記時期の早さによって決まるというのが一般的な解釈だ。したがって、多くの債権に関して、証券化のマスタートラストである信託銀行側が正当性を有するという見方ができる。
これに対し、日本振興銀行はホームページで『二重譲渡に関する中間報告』と題し、「他の金融機関から債務者に対して債権譲渡通知がなされているという事実はなかった」と公表。自身の譲渡通知をもって「当行に優先する債権譲渡がなされたということは確認できなかった」との認識を示し、正当性を訴える。
つまり譲渡債権の見解について、信託銀行側と日本振興銀行は真っ向から対立する。信託銀行側は同銀行に対し、自らの主張を内容証明郵便で通知。本誌の取材に対し、内容証明郵便を受け取った事実を同銀行も認めている。
そして8月6日、信託銀行は裁判所へ同銀行を相手とした債権処分禁止の仮処分を申し立てた。今後、互いの主張が対立し続けるならば、債権譲渡の正当性を争点として訴訟手続きへ入る可能性が高い。
証券化資産の管理・回収では、昨年の消費者金融会社(レタスクラブ)の破綻ケースに続き、SFCG破綻で本邦第2回目となるバックアップサービサー事由が発動。ジェーピーエヌ債権回収とエムシーエス債権管理回収という2社が、バックアップサービサーに決まった。
譲渡債権問題の解決作業はしだいに進捗している。ローン債権はどちらの譲渡先に帰属するのか。前代未聞といえる巨額の二重譲渡は、解決に向かいつつある。
(浪川 攻 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済)
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