ブリヂストン、円高でも増益を狙う次の一手 6000億円のキャッシュの使途がカギになる

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にもかかわらず営業益が横ばいで踏みとどまると見ているのは、北米での販売が好調だからだ。今期の米州のセグメント利益見通しは、円高を跳ね返して前期比8.3%増の2410億円を計画。足元の新車市場はサブプライムオートローンの活用などもあり過熱感も指摘されているが、タイヤの場合は少し事情が違うようだ。

中期経営計画の説明会で、津谷正明CEOは、米国の販売網を拡充することを優先課題に挙げた

特に北米市場では、新車用タイヤより交換用タイヤの方が需要が多い。日常の足として車を使う社会で、悪路も多く、1年程度でつけ替えるのが一般的といわれている。積み上がった保有自動車数は、将来の交換用タイヤの需要を約束する。

「車齢も伸びている。今は11.5年ぐらいになっている」(津谷正明CEO)状況で、新車に買い替えるよりもタイヤを交換して保有している車に乗り続ける層が多い。交換用タイヤは新車用タイヤよりも利幅が厚く、タイヤメーカーにとっては悪くない環境だ。

キャッシュは6000億円超に積み上がる

今後、ブリヂストンが力を入れるのは販売網のさらなる充実だ。北米では直営2200店舗、契約店を加えれば5200店体制を築いているが、販売会社の買収を軸に中期経営計画では6000店体制の構築を掲げている。津谷CEOは「おカネはあるので買うのは簡単。ただ、事業として成功するかどうか。戦略上正しくなければいけない」と強調する。

2015年末時点では、現預金3876億円、有価証券2173億円と合計6050億円のキャッシュが蓄積。「投資が一段落したことで数年のうちに1兆円に達する」(SMBC日興証券の松本邦裕シニアアナリスト)と見られる。業績は踊り場にさしかかったが、豊富なキャッシュを有効に活用することができれば、一段と成長できる可能性は残されている。

山内 哲夫 東洋経済 記者

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やまうち てつお / Tetsuo Yamauchi

SI、クラウドサービスなどの業界を担当。

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