新「電車とバスの博物館」の超目玉はコレだ ミュージシャンの向谷実さんも全面協力

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本物のバスも展示されている

このほか、乗務員訓練用として実際に使用しているCG映像を使った「東横線CGシミュレーター」も、加速やブレーキのタイミングなどのアドバイスが表示される「ガイダンス機能」を備え、本格的なシミュレーターを小さな子どもでも楽しめるような工夫を施した。

リニューアルのプロジェクトを担当した、東急電鉄鉄道事業本部運輸営業部の吉村俊彦主事によると、近年の来館者は「かつての開館時に子どもだった世代がお父さんとなって、子どもを連れてきている例が多い」という。今年で開館34年を迎える同館の開館時に子どもだった世代は、いま30代後半~40代。父子や、両親と子どもでの来場が多いが、祖父・祖母と三世代で訪れる例も見られるという。

リニューアルの際に意識したのは、まさにこの点だという。「パノラマシアターや展示品でも、古い時代の車両から新しい車両までが走ることで『おじいちゃんの時代の電車はこんなだったよ』と、家族間のコミュニケーションに活かしてほしい。それが、こういった小さな博物館の役割だと思う」と吉村さんは語る。

未来の鉄道マンはここから育つ?

子ども向けの展示に力を入れたのは、「東急ファン」になってもらうことはもちろん、鉄道の仕事を知ってもらうことで、将来の鉄道を支える世代を育てたいとの意味合いも感じられる。

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実は飛行機の展示もある。YS11型機のコックピット

例えば、鉄道マンの仕事を紹介する「電車のしごと」のコーナーでは、運転士などと並んで「保線・電気技術員の仕事」のコーナーを充実させたり、「パノラマシアター」でも車両工場や保線、電気関係などの仕事を紹介した映像を上映したりするなど、鉄道を支える「裏方」の仕事の紹介にも力を入れている。一見目立たなくても重要な「鉄道の『キモ』の部分もしっかり表現していきたい」(吉村さん)との思いからだ。

本格的なシミュレーターのパワーアップから小さな子どもが楽しめる施設まで、新たな展示を加え「体感型ミュージアム」としての性格をより明確にした同館。沿線利用者に親しまれる施設として地域社会に貢献するという役割はもちろん、子どもの頃から電車に親しみを持ってもらい、将来にわたって鉄道会社の「ファン」を育てることにもなる博物館の持つ意味は、人口減少社会で沿線の持続的発展が課題となっていくであろう、これからの鉄道会社にとっても大きいに違いない。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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