坂上忍の魅力は「芸能界No.1の営業力」にある 「毒舌キャラ」はカモフラージュか?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「話術よりリアクションが重要」という点は、営業マンと同じ。営業マンも冗舌に話すより、「御社の事情がわからないので教えてください」というスタンスで、できるだけ相手に話させて、感じのいいリアクションを返しながら商品説明したほうが成約につながりやすいものです。

もし坂上さんが「毒舌」というイメージ通りのMCをしていたら、持論を展開するだけで、視聴者の立場から番組を進めることはできないでしょう。同様に営業マンも強いアプローチをするほどクライアントの立場から離れていくので、契約が取れたとしてもそれが長期に渡らない可能性が高いのです。

“2面的な顔”と“本音の出し入れ”

再ブレイク後の坂上さんを見ていてすばらしいと感じるのは、「番組や企画に乗っかろう」とするノリのよさ。レギュラー出演に加え、コーナーレギュラー、ひな壇出演、単発ゲスト、地方ロケなど、「どんなポジションでも楽しもう」という前向きなスタンスは、見ていて気持ちいいものがあります。

担当コーナーの中には、家を買うものや、お世話になった人に大金をはたいておごるなどの企画もありますが、坂上さんはいずれも「やる」と快諾。思い切りのよさはいかにも芸能人らしく、それでいて2年がかりで家を建てて男泣きするなどの人間臭さを見せるなど、“2面的な顔”を見せています。

この“2面的な顔”を見せるという方法も、営業マンに必要な要素。それは“商品の専門家”としての顔と、“気さくな一人の人間”としての顔であり、2面の顔がそろうことで「この人なら大丈夫」という信頼感が増すものです。

信頼感が増すという意味で、もうひとつ坂上さんが長けているのは、本音コメントの数々。「いい」と「ダメ」、「好き」と「嫌い」、「面白い」と「つまらない」、「ウマイ」と「マズイ」の両極端をはっきり言うことで、自分を情報や商品のフィルターとして機能させています。視聴者にとっては、本音で話す人=正直な人。「正直な坂上さんがいいというのなら信用できるかな」という気持ちにつながっているのではないでしょうか。

また、坂上さんがすごいのは、視聴者に「本音で話す人」と認識させておきつつ、“本音の出し入れ”ができること。たとえば、食レポで「俺はマズイものはマズイっていうからね」と前振りをしたあとに、「ウマイ!」と言い切れるのが、“芸能界No.1営業マン”たるゆえん。

次ページ「偽悪」を意識的に使う
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事