本当の「ヒット曲」は、どこに隠れているのか CD販売でランキングを決める時代は終わった

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どうすればヒット曲を可視化できるのか。この問いに取り組むのが「ビルボードジャパン」(阪神コンテンツリンクが運営)だ。2008年に始めたヒットチャート「Billboard Japan Hot 100」はCD販売に加え、ダウンロードや定額配信、全国のラジオのオンエア、パソコンによるCD音源の取り込み、ツイッターのツイート(アーティストと曲名)、YouTube視聴(公式コンテンツ)など、複数の指標を盛り込み、ユーザーへのインパクトを現した独自の複合チャートだ。

チャート作成を担当するミュージックエンターテインメント部の礒崎誠二氏は、「2008年当初からどういうチャートのあり方が面白いのか、ヒット曲とは何なのかということを考え続けてきた」と語る。

チャートはさまざまな「ヒット曲」を映し出す。2015年の1位は、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEの「R.Y.U.S.E.I.」。ランニングマンと呼ばれる独特な振り付けが注目を集め、YouTube視聴回数で1位となった。CDやダウンロード、定額配信などが好調で、年間を通じてツイッターでも話題になり続けた。発売は2014年6月だが、2015年に一段と注目されることになったロングヒット曲だ。

そのほか、CDなどの販売面を中心に強さをみせたのが嵐、AKB48、SEKAI NO OWARI。ラジオで最も多く流れ、定額配信サービスでも人気だったカーリー・レイ・ジェプセン。YouTube再生回数でトップを争った、ゲスの極み乙女。も上位に続いた。

ヒット曲に見る、さまざまな形

また、オリコンで年間ランキング100位以内に入らない西野カナも、ビルボードでは4曲がランクイン(11位、14位、29位、42位)した。若年層にファンが多いこともあり、CDではなくダウンロード配信が強く、各曲のツイート数も非常に多かった。

ビルボードチャートを担当する磯崎氏。ヒット曲の傾向について、「定石のプロモーションがしっかりはまっているケースが多い。ラジオ放送で多く流れたり、CMのタイアップ曲だったり、三代目 J Soul Brothers のダンスのようにYouTubeでみられる仕掛けなどが有効に働き、セールスに跳ね返っている」と分析する

オリコンに比べて、多様なアーティストが並ぶビルボード。そのコンセプトは本家の米国ビルボードと同様に、音楽との「接触」と「所有」を組み合わせることだという。音楽は耳にしたり、情報を目にする(接触)ことで購買(所有)につながる商品だからだ。「接触」がカウントされるため、発売前の新曲がランキングに登場することもある。

計算方法は非常に複雑だ。たとえばラジオの場合、全国主要エリアのAM、FM32局で放送された曲が対象になる。単に放送回数だけではなく、各エリアの聴取率と人口などを用いて、人口の多い地域の局の放送分のほうがよりポイントが高くなるといった調整を加える。さらに、日本レコード協会による「音楽メディアユーザー実態調査」を元に、ラジオを聞いてCDを買う確率を参考にポイントを算出する。

 

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