ヘイトスピーチ対策は「新条例」で変わるのか 「表現の自由」との関係にはどう配慮した?
ヘイトスピーチについては、表現の自由との関係で、規制の可否が永らく議論されてきました。今回の大阪市の条例は、議論の膠着状態を打ち破って『とにかくやれることをやってみよう』と一歩を踏み出した点で、非常に意味のあるものだと思っています。
大阪市の条例は、 ヘイトスピーチの要件を『社会からの排除等といった目的性』、『侮蔑・誹謗中傷といった態様面』、『不特定多数の者が表現内容を知り得るといった対象者の不特定性』などと厳しく限定しています。
「規制対象」と宣言することに意味がある
また、認定にあたって学識経験者の意見を聞くことにする等、手続き的にも慎重にしていることが、この条例の特徴だといえます。
これらは、表現の自由にも十分に配慮したものといえるでしょう。
条例が定めるヘイトスピーチの要件が限定的なものであったとしても、この条例は、ヘイトスピーチの根絶を願う立場から十分に評価できるものです。なにより『ヘイトスピーチは違法であり、これを規制できるのだ』ということを公に宣言すること自体、非常に画期的であり、インパクトがあることだからです。
このように、ヘイトスピーチについては、まず自治体で規制の実績を作っていき、最終的には、国の法律で全国的な規制を定めていく、という方向がよいかもしれません。
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