食品各社が勝負!「注ぎ口」イノベーション 味や量だけじゃない
粒の大きさを均一化して振り出し口に詰まらないようにした。水溶性が高いためダマにもなりにくい。製造ラインも更新した。
「企画を提案したとき、『できる』と言われるのは新しくないということ。『難しい』と言われるものに今後もチャレンジしていきたい」(水田さん)今年度の売り上げ計画は5億円だが、2倍を上回るペースで売れているという。
しょうゆの消費量が減少するなか、プラスチックボトルに入ったキッコーマン食品の「いつでも新鮮」シリーズが好調だ。発売から毎年、倍々ゲームで売り上げが伸び、今年度は80億円を超える見込みだ。容器を二重構造にし、内袋のしょうゆを空気に触れさせないパウチタイプの発売では他社に先を越されたが、2011年に片手で注げる「やわらか密封ボトル」を開発し、巻き返した。
「きっかけは『生しょうゆ』という新しい味をお客様に届けたいという思いでした。密封ボトルの開発はその結果論です」(プロダクト・マネジャー室の井上美香さん)
普通のしょうゆは製造工程の最後に「火入れ」がある。殺菌とともに、香ばしさが高まる。一方、生しょうゆは火入れをしないため、味はフレッシュでフルーティー。ただ、発酵が早く、風味が落ちやすい。一般の流通経路で販売するのは難しいとされていた。
常温で90日間新鮮に
そこで開発したのが「ダブル逆止弁キャップ」。二重構造なのはパウチタイプと同じだが、内袋からしょうゆが出ると、そのぶん空気が外袋に入り、内袋がつぶれて、ボトルの形が保たれる仕組みになっている。
開発に携わった井上さん曰く、
「容器開発で難しかったことは、使いやすさと強度を共存させることでした」
一滴から注ぐことができ、常温で90日間鮮度を保てる。
「今後も少量使用とニーズの多様化に応えていきたいと考えています」(井上さん)