東京アッパー層の結婚はしがらみの中にある 東京の「婚活事情」最前線<5>
港区の名家に生まれ、自身も成功し、上品な嫁も、子供も手に入れる。この実力も強運も、予め決められていたような完璧なあらすじも、生まれ持ったものなのだろうか。
抗えないアッパー層のしがらみ
だが、世間はきっと、こんなタイプの富裕層には何かしらのゴシップや失脚を期待していないだろうか。期待通り、彰が一つだけ直視できないものがある。
嫁は、彰を愛していない。
家同士も釣り合い、お互いの条件も合致し最高の相性に見えたその縁談の裏で、嫁は秘密を抱えていた。彼女は家柄上結ばれることのできない相手と長年付き合っており、結婚後も思いを断ち切ることができずに妊娠中も多忙な夫の目を盗んでは男に会いに行っているという。そして、狭い都心のコミュニティの中で、その事実を周りの人間はみんな知っている。
ふだん他人に対して辛口な彰は、自分がその価値を認めた女に対してはとことん弱いらしい。あるいは、自身のステイタスの一部を構成する「嫁」に対してはもう後に引けないという判断になったのか、そんな嫁に対して周囲の心配もよそに何のアクションも起こさずにいるという。
外から見れば経歴も華々しいこの夫婦は港区のロールモデルに変わりはないが、こんな仮面夫婦の噂話は東京のアッパー層に実に多いと聞く。他人の僻みから生まれた作り話なのか、実話なのか。人は財力や成功などある程度の地位を手に入れると、それに見合う人間関係やライフスタイルを構築しなければならなくなる。それを義務のように思い込んでいる者は多いように思える。
「財は強」と先に述べたが、それが幸せであるかは、また別なようだ。
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