■CEOへの道は、職業としての”社長”を選び、第一線で活躍するプロによるトークセッション。将来、経営層を目指すオーディエンスに、自らの経験とノウハウを語る。
--平松さんなりの「社長マニュアル」はありますか。
経営スタイルは、誰に教わるでもなく、「あっちだよ」と目標を示してチームに任せるようなやり方にたどり着きました。堀江のように皆を引っ張っていく強烈なカリスマ性が僕にはありませんから、チーム全体の状態を大切にしますね。
ただし、チームの要となる幹部社員を選ぶ条件は、3つあります。1つは、営業、マーケティング、経理など、その道で僕より優れていること。2つ目は、必要なときに僕にNO!と言えること。3つ目は、個人的な友達ではないことです。会社がうまくいかなくなったら、友達を切らなければいけない場合もあります。仕事は変えられるけど親友は変えられませんから、絶対に友達は採用しません。IDG、AOL、弥生でコンビを組んだ飼沼健という人物はベストパートナーですが、一緒に酒を飲んだことはないんですよ(笑)。
--著書に「自分は『商品』である」と書かれているように、今回のお話からも自分の価値を高めようとする強い意識が伝わってきます。
講演でも、「マーケティングユアセルフ」についてよく話をします。自分がプロダクトであると認識し、プロダクトバリューを高めることが大事。自分を磨かないとダメだということです。自分を会社に置き換えてもいいですね。コーポレートバリューを高めるために会社経営をするのと同様に、僕自身、どうしたら自分のバリューを高められるのかということに今でもチャレンジし続けています。
--自分の価値を高める早道は何でしょうか。
僕の場合、人から学ぶことが多かったように思います。読売新聞ワシントン支局でジャーナリストを目指していた頃、いわゆる特オチをやらかしてしまいました。当時支局長だった渡邉恒雄さんに殺されるかと思うほど怒られましたが、その一件がなければ今の自分はなかったでしょう。ソニーの盛田さんや井深さん、松下幸之助さん、本田宗一郎さんなど、先輩からは経営や生き方などを学びました。プレステの生みの親である久夛良木健や、ソニーフィナンシャルホールディングスの�中暉久など、優秀な同僚たちからはいいところを盗みました。
ライブドアの社長になった年は60歳だったのですが、10~20歳も年下の部下に新しいマネージメントやテクニックを教えてもらって、自分の価値がいっそう高まりましたね。一番成長した時期だったと思います。息子からもウェブマーケティングを教わっていますよ。息子には多大なインベストメントをかけているので、リターンを得ないと(笑)。