川村隆・日立製作所会長兼社長--総合電機路線とは決別へ、本体への公的資金はない
--デジタル家電などコンシューマ事業を7月に分社されますが、100%子会社ではあまり変わらないのではないですか。
100%子会社のままだとちょっと動きが速くなるくらいでそんなに変わらない。今でもコンシューマ事業では光ディスクで韓国のLGと組んでいますが、他社との協調は製品ごとになる。その先に新たな展開が出てくるかもしれないが、まだ何ともいえません。
--グループ再構築には、産業活力再生特別措置法による公的資金の活用も考えていますか。
政府が今までやらなかったことをやってくれるのはいいことです。1メーカーではやりにくいが、大事な技術はある。たとえば宇宙開発や超電導は国のおカネがいる。その意味で公的資金活用の検討対象になりえます。今のようにおカネがないときには特にね。ただ、そちらに進むつもりで決めていているわけではない。検討対象ですがまったくの白紙です。
--半導体以外でも選択肢として公的資金の活用はありますか。
選択肢はあります。今は何でもあり。どのメーカーもどの商品も。
--本体はあるのですか。
ものすごく考えにくい。本体でそんなことはありえないですよ。
--10年ほど前に川村社長は、世界で原子力発電の需要が高まるのは2050年と発言されていました。それが40年早く原発に戻ってきた。
世界全体は原子力をきちんとやる流れに動いている。10年前は原子力に対するアレルギーが大きかった。今でもそれはありますが、環境適合製品という考えが普通の人にも出てきました。今やアラブ首長国連邦でさえ原子力をやろうとしている。原油がなくなったときのために、おカネのある間に原子力発電所を造っておこうとしています。
何十年も原子力を続けてやっているのはわれわれだけ。米国のGE(ゼネラル・エレクトリック)もウェスチングハウス(WH)も途中で休んでいます。モノをきちんと作れるのは日本メーカーしかいない。7月には島根原子力発電所でわれわれの原子炉の据え付け工事を行います。世界中から見学者が訪れるので、そこで頑張らないとダメなんです。