若い女性が住む「都内の人気駅」ランキング 見栄ではなく快適さで選んでいる
東急池上線は3扉の3両編成。各駅停車の電車だけが五反田と蒲田を結んでいる地味な路線である。そんな池上線の、五反田寄りのエリアが、20~30代女性に人気が高いという。なぜか。
「生活上の利便性が高いからです」と杉原氏はいう。実際に現地に行ってみると、電車を降りて階段もなくすぐに改札を出ることができ、そこから商店街に直結しているような駅が多い。その商店街で大抵のものがそろう。とくに戸越銀座駅周辺の商店街は有名である。
このエリアのマンション価格は割安ながらも、利便性の高さなどを背景に、市場価格がじわじわと上昇しているという。
山手線の五反田駅に接続しているというのもメリットの一つである。しかも、五反田での乗り換えは池上線ホームと山手線ホームの乗り換えが階段を降りるだけというシンプルなもので、ターミナル駅の乗り換えとしては楽な部類に入る。しかも運行本数は多い。
こんな利便性の良さが受けたのか、「かつては池上線の蒲田寄りのエリアが高級住宅地として人気が高かったが、現在では五反田寄りのエリアが人気となっています」(杉原氏)。
見栄でなく快適な暮らしのために
いまの20~30代は、決してお金に余裕があるわけではない。バブル崩壊からの雇用情勢の悪化に伴い、経済状態が決していいとはいえない人も多い。「貧困女子」という言葉さえある時代だ。しかし、暮らしやすく、かつ勤務先にも近い場所に住みたい。そんな思いが、丸ノ内線や東急池上線といった「頻繁運転・短編成・都心直結」といった路線を選ばせる。
また、杉原氏は、「同じ理由で城東エリアにも若い女性が住むようになっている」という。従来、城東エリアは城西・城南エリアに比べイメージが悪かったが、利便性の良さから選ばれるようになっているのだ。
労働環境の苦難を乗り越え、快適な暮らしをするために、利便性のよい割安な路線を選ぶ。見栄ではなく、暮らしやすさと金銭面を両立させる、都会で暮らすための「戦略」として、こういった沿線を選ぶ。現代はまさにそうした時代なのである。
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