地球温暖化防止に積極的な企業ランキング--シャープ、富士フイルム、大阪ガスが高得点

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4テーマで評価

本調査は、国内主要企業700社を対象に実施、420社から調査票への回答を得た。本調査の大きな特徴として、環境全般ではなく気候変動問題(地球温暖化防止)に的を絞っていること、CO2排出量自体や個別具体的な削減技術等ではなくマネジメントシステムについての調査であることが挙げられる。環境全般への対応や技術力に関する調査は従前から実施されているが、気候変動問題(地球温暖化防止)に関する企業のマネジメントシステムの調査は初めての試みである。これは、CO2削減に対する実効的な企業行動のためには技術力を活かすマネジメントが必要であり、それを評価することが重要であるとの考えに立つ。さらに、気候変動問題解決への有効な行動を生み出すためには、企業は社会全体に対する明確なビジョンを経営戦略に取り込み、具体策を構築し、企業全体の意思行動とすることが重要であり、それこそが企業の競争力につながる。そのためにも、企業力(マネジメント力)とそれを支えるマネジメントシステムの評価が重要と言える。

評価は調査票への回答に基づき、リーダーシップ、コミュニケーション、マネジメントシステム、サステナビリティの4項目で行った。

1)
リーダーシップ 気候変動問題への取り組みは、日本ではトップの強いリーダーシップが必要な初期段階にあると判断し、配点を最も多くした。取り組み方針や取締役会への報告、役員向けの研修の実施等、経営トップのコミットメントを評価。
2)
コミュニケーション CO2排出量の目標値・実績値を経年比較で開示しているか、社外向けの活動の支援・啓発、情報共有をしているか、社員や家族向けの周知に取り組んでいるか等、さまざまなステークホルダーとのコミュニケーションを評価。
3)
マネジメントシステム 国内外の各拠点で排出量を計測しているか、削減目標を設定しているか等、商品の製造から廃棄まで商品の全ライフサイクルにおいて排出量を削減すべく、具体策を組織的に回すPDCA(Plan→Do→Check→Act)サイクルのシステムが確立できているかを評価。
4)
サステナビリティ 記述式の設問について、各企業の問題意識、取り組みの姿勢などを評価。

マネジメントシステムの調査であるため、調査・評価はPDCAサイクルに沿って実施するが、今回は初めての調査ということもあり、P(経営トップのコミットメント、方針)、D(取り組み体制、文書化のレベル、開示)の評価に重点を置き、C、Aは主に情報収集を行った。

また、CO2排出量や削減量に関しては業種によって取り組みや認識に違いがあり、社会的要請も異なることから、評価は業種ごとに行った。

業種間の差はあるものの、各業種とも上位ランキング企業は気候変動問題をリスクだけでなく、ビジネスチャンスととらえ、積極的に取り組んでいる。気候変動問題への取り組みは各社緒についたばかりの段階にあるとの調査前の予想に反し、ほとんどの業種で上位企業と最下位企業の間には大きな開きがあり、すでに取り組みが二極化していると言える。
(『東洋経済統計月報』編集部)

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