2輪の名門「ヤマ発の4輪」は何が新しいのか 1~2人乗りの超小型モビリティを検討

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――コスト削減の方法のひとつにプラットホーム(車台)の共通化を挙げている。

ヤマ発はエンジニアリングの意向が強いため、昔はモデルごとに新しい車台やエンジンを作っていた。それでも上手くいっていたのは昔の話で、今は新興国市場も成熟しつつあり、お客さんの好みも多様化している。色々な商品をまったく違うプラットホームから開発すると効率が悪い。そこで高い技術が必要な基本プラットホームの開発は日本、手間がかからない外観や細部の変更は現地のR&Dが担当するという役割分担をしている。こうすれば開発にかかる時間とコストを削減できる。

例えば、ベトナムの女性はハイヒールで2輪のシートに座ったときに、他人から見て綺麗に見えるかを気にするが、同じアセアンでもインドネシアはそうしたニーズはない。プラットホームを共通化すれば、このような細かいニーズの違いに応えやすくなる。

3輪バイクも4輪も手掛ける面白い会社にする

――ヤマ発が得意とするのはハイエンドモデルの2輪。利幅の大きい高級車種に絞ったほうが収益性は高まるはずだが、低価格モデルも継続して生産していくのか。

今ある販売網を維持していくには上から下のモデルまで揃えておく必要があるので、低価格の50ccモデルも必要。これはヤマ発に限らず、ホンダやスズキにも当てはまる。長期的には棲み分けができて、得意なところに絞り込んでいくかもしれない。

――2輪の収益性改善と並行して、新規事業の足掛かりを築くことが今後3年間の課題になる。

2018年度に売上高2兆円、営業利益率10%の達成が視野に入ってくることが第一の目標だ。その中から新規ビジネスを立ち上げる土台作りをして、うまくいけば2019年以降にスタートさせる。これからの3年間で、2019年以降の成長の絵柄を描いていきたい。

自動車メーカーは自動車しかないから、あまり面白くないでしょう。うちには2輪以外にも3輪バイクもあるし、4輪参入の可能性もある。「新しいことが始まるぞ」という予感がするようなもっと面白い会社にしていきたい。

宮本 夏実 東洋経済 記者

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みやもと なつみ / Natsumi Miyamoto

自動車メーカー、部品会社を担当

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