2輪の名門「ヤマ発の4輪」は何が新しいのか 1~2人乗りの超小型モビリティを検討

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――4輪参入に関して、社内に反対意見はないのか。

4輪がヤマハ発動機にフィットするかどうかを検証している段階で、4輪をやると決定したわけではないので反対はない。ただ、次のビジネスを探さなければいけないという見解では社内で一致している。

新規ビジネスの候補には、4輪や3輪バイクといったモビリティや、マリン事業の多角化、ロボティクスなどの要素技術開発など、4つの領域を考えているが、いずれは事業化の可能性が高いところに資源を集中させる。3年後の2019年から具体的な行動に移せるようにするには、1年半後くらいにはどこに資源を集中させるか結論を出さなければいけない。

2輪でも安全性への期待値が高まってきている

――2輪車を自律運転するヒト型ロボット「MOTOBOT(モトボット)」を開発した。このヒト型ロボットの技術は、どのように事業に活かすのか。

過去最高水準の業績に回復したが、「2輪とマリンでは残っていけない」と危機感をあらわす柳社長(撮影:今井康一)

4輪で運転支援システムへのニーズが高まってきているのと同じように、2輪でも安全性への期待値が高まってきている。ロボットプロジェクトからライダーの運転支援に使う技術を見つけたい。

今のモトボットは角度を15度くらい傾けても自律して走行できる。4輪の動きは基本的には左右と前後の2次元だが、2輪は傾きなどの動き方を含めて3次元の動きをするので、2輪よりも難しい制御技術が必要になる。

モトボットの技術は最新のスポーツバイク「YZF-R1」などに活かされているが、4、5年後にはハイエンドモデルに限らず、小さいバイクやスクーターにもライダー支援の技術を搭載していきたい。

――事業柱である2輪事業にも課題は残っている。ヤマ発の2輪事業の営業利益率は2.3%。世界シェア首位のホンダは9.9%(2014年度)と、大きな差がある。

ホンダは、数が出る新興国向け2輪でスケールメリットを活かせている。加えてホンダの方がコストダウンの取り組みが進んでいる。ここにヤマ発の課題がある。しかし、ボリュームの戦いをしなくとも、ここ数年のコストダウンの取り組みに磨きをかけることで7、8%の利益率を目指していくことは可能だ。

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