インサイトvs.プリウス、米国でもガチンコ勝負

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インサイトvs.プリウス、米国でもガチンコ勝負

不況などどこ吹く風。ホンダ鈴鹿工場は今、ホンダの新型ハイブリッド車(HEV)インサイトの量産に忙しい。生産台数は1日600台が公表数字だが、730台近く生産する日も少なくない。1分に1台のペースだ。「4月から導入されるエコカー減税を待って新車登録するお客さんも多い。3月後半から4月にかけてどれだけ生産できるかが勝負」とホンダの福井威夫社長も力が入る。

インサイトは2月に発売して10日目に受注1万台を突破。「全国のホンダディーラーが1台ずつ買えば、それだけで2000台になる」(業界関係者)と皮肉る声をよそに、直近で2万台を超えた。

この人気を受けて、5月に3代目の新型プリウスを発売するトヨタ自動車も動いた。新型は排気量1・8リットルだが、1・3リットルのインサイトよりわずか16万円高の205万円に設定。さらに現行モデル(1・5リットル)はインサイトと同価格の189万円に値下げすると報じられるなど、対決姿勢をあらわにしている。

「2万ドル以下」貫く

販売現場では露骨なインサイト潰しも始まっている。首都圏のあるホンダディーラー幹部は「トヨタ側が強烈な下取り対策をかけている」と明かす。「ウチなら3万~5万円で引き取るようなクルマを『トヨタで査定したら10万円だった』とお客さんに言われ驚いた。20万円という話もある。どちらか迷うお客を徹底的に囲い込むつもりだろう」。

けんかを売られた格好のホンダだが「値段競争になったら負けないが、する気もない」(福井社長)と静観の構え。実際、販売現場からも「減税前後の価格差を埋める(販売奨励金)約4万円以外、対策費は出ていない」(別のホンダディーラー)と聞こえてくる。

ホンダにとって真の戦いは海外市場だ。3月24日、インサイトは米国でもショールームデビューした。価格は驚きの1万9800ドル(輸送費等は別)。大幅な円高に振れた状況下、かなり挑戦的な価格設定といえる。1ドル115円なら円換算の売上高は228万円だが、95円では188万円に減る。それでも「200万円・2万ドル・2万ユーロという、HEVが普及するうえでの壁」(インサイト開発責任者の関康成氏)をブチ壊すほうを優先した。

ホンダはHEVの主市場・米国でトヨタに惨敗してきた。2008年のプリウス販売台数16万台に対し、シビックハイブリッドはわずか3万台にすぎない。HEV車は5年後の14年には世界で400万台市場に達するとも予測されているが、その7割は欧米が占める。“覚悟”の値付けでトヨタに雪辱を果たせるか。ホンダの正念場は今から始まる。

インサイトのエンジンルーム

高橋 由里 東洋経済 記者

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たかはし ゆり / Yuri Takahashi

早稲田大学政治経済学部卒業後、東洋経済新報社に入社。自動車、航空、医薬品業界などを担当しながら、主に『週刊東洋経済』編集部でさまざまなテーマの特集を作ってきた。2014年~2016年まで『週刊東洋経済』編集長。現在は出版局で書籍の編集を行っている。

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