サイバー藤田社長「海外進出はそう甘くない」 次は何が来るのか、ネット業界の展望は?
――藤田社長は、サイバーエージェントの上場直後にネットバブルがはじけるなど、業界全体を揺るがす苦しい局面を何度か乗り越えてきた。そうした経験に照らして、今の若い起業家はどう映るのか。
雰囲気が変わりつつあると思う。ライブドア事件の影響で萎縮し、世間からたたかれないように小さくまとまった人が多かったが、とがったことをいう経営者もちらほら出てきた。
そういう人はもしかしたら化けるかも知れない。もちろん、化けない可能性の方が高いのだけれども(笑)。それでも夢がある。身の丈の事しか言わないような企業では、大したことはない。
米国と日本の違いとは?
――サイバーエージェントはネット業界でもうすぐ20年選手。前期は過去最高の業績を達成した。成長し続けるために必要なことは?
つねにフレッシュでいないと。ネット企業の経営者がガラケー使っていたら終わりですよね(笑)。もう変わろうとしないんだと思われてしまう。
国内の主立ったネット企業は、変化に対応していくことの重要性をさんざん体で学んでいて、新しく有望な分野が出てきたら抜け目なく参入する。結局それが新しい会社の成長の芽を摘んでいるところはあるのかもしれない。
アメリカのように、単一事業でグローバル展開するのが常識だと、買収で取り込むことはあっても、自分たちで新規事業をやろうとは思わない。一方、日本のネット企業はコングロマリット化している。
――そうした日米の違いはどこからきているのか。
米国はシリコンバレーにさまざまな国籍の人が集まっていて、どの国の人でも使えるようにサービスを設計するし、単一事業でグローバルに展開していくほうが成長速度が速い。
日本の場合、言語的な障壁もあり、国内で限界にぶつかる。だが、株式市場からの成長期待は米企業と同じように高い。つじつまを合わせるためには、国内の成長分野を取り込んで横展開していくことになる。
国益的な事を考えると、海外で日本のネット企業がもっと活躍しないといけないとは思う。ただ、僕が言うとちょっと愚痴っぽくなってしまうかもしれないが、日本では応援しようという機運もないように感じる。
投資家も海外ではやったものだから投資するという姿勢だったり、メディアも海外の流行を理由に、その日本版を取り上げたりする。政府も先端の動きに追いつけていない。
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