3月ダイヤ改正でJR営業費用はどう変わる? 列車の運転キロ数増減を基に「独自算出」
●JR四国
今回のダイヤ改正で列車キロの減少を伴わないのはJR貨物とこのJR四国だけ。つまり、旅客列車の列車キロが減少しないのは同社だけである。
増加する列車キロのうち最大のものは、休日に運休となっていた予讃線観音寺-伊予西条間の普通列車1往復を毎日運転としたことによる115.6km分だ。特筆すべきは鳴門線徳島-鳴門間で普通列車が1往復増発され、列車キロが37.6km分増えたことであろう。
2012(平成24)年度の旅客輸送密度が1778人の鳴門線は全国にあまたある地方交通線の一つである。しかし、鳴門線は都市の近郊に位置することもあり、ラッシュ時の輸送需要は大きい。大量輸送に適した鉄道の特質が生かされた好例と言える。
●JR九州
JR九州は差引で列車キロが131.0km減り、1日当たりの営業費用は15万5104円削減される。途中で修正が行われなければ、この陣容で2016年秋の上場に臨む。
列車キロの増加は通勤需要が増えているという要素が大きく、鹿児島、久大、豊肥、指宿枕崎の各線で少しずつ列車キロを積み上げた。加えて、宮崎空港線の列車キロが9.4km増加しており、観光客が増えている点もうかがわせる。
一方で、列車キロの減少は別府-熊本間を行く特急「九州横断特急」1往復が削減されることによるもの。これだけで320.2kmとなる。全体としては上場を見据えて様子見といったところか。2017(平成29)年以降のダイヤ改正では大きな変化が起きるかもしれない。
景気の動向を映し出す貨物輸送
●JR貨物
今回のダイヤ改正でJR貨物は減少する列車キロがない。海峡線の貨物列車は北海道新幹線との共用区間が存在するために削減がうわさされていたものの、いまのところは現状を維持する見込みである。
1087.6km分という列車キロの増加は東京貨物ターミナル-吹田貨物ターミナル間という東京-大阪間のコンテナ貨物列車が1往復増発されることに伴うものだ。
トラックドライバー不足によるモーダルシフトによって輸送需要が増加しているからであり、列車の増発に加え、既存の列車の増結も実施される。
JR貨物はJR各社のなかで景気の動向に最も左右される鉄道事業者だ。それだけに、ここ数年のダイヤ改正のなかでも規模の大きな同社の動きは、日本経済の動向を見るうえでも参考となるのではないだろうか。
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