3月ダイヤ改正でJR営業費用はどう変わる? 列車の運転キロ数増減を基に「独自算出」
●JR東海
今回のダイヤ改正での列車キロの増減はあまり見られない。そのような中、2009(平成21)年10月の台風の被害に遭って長らく運転を休止していた名松線の家城-伊勢奥津間が復活することとなり、265.5km分の列車キロを積み上げた。一方、列車キロの減少は、特急「しなの」1往復が名古屋-大阪間での運転取りやめによって同社の区間である名古屋-米原間で159.8km分減ったことが大きい。
名松線の旅客輸送密度(旅客人キロ÷年間の営業キロ)は、営業を休止する前の2008(平成20)年に333人であった。これだけの閑散路線でありながら、今回のダイヤ改正で家城-伊勢奥津間には下り7本、上り8本の計15本の列車が運転される。中小民鉄や第三セクター鉄道はもとより、JR東日本を含めた他のJR各社でもなかなかできる芸当ではない。JR東海の経営体力の強靱さを示す一つの指標とも言えるであろう。
インバウンドで伸びた列車キロ
●JR西日本
昨今の好調ぶりを反映するかのように、JR西日本は差引の列車キロの増加が2369.3kmとJR各社のなかで突出して大きい。その理由はインバウンドによる輸送需要の増加と、極めて最近の訪日客増加という変化を映し出している。
増加した列車キロ3497.7km中、最も大きな割合を占めているのは、6往復が増発されることとなった京都-関西空港間の特急「はるか」である。「はるか」だけで1197.6kmが増えたほか、京橋-大阪-関西空港間を結ぶ関空快速も増発や運転区間の延長によって269.8km分増加しており、インバウンドによる利用が旺盛であることが明らかだ。
列車キロの減少は、JR東海の項目でも挙げた特急「しなの」の名古屋-大阪間打ち切りによるもので、JR西日本では米原-大阪間1往復分の221.0km分が減っている。また、土曜・休日の山陽線広島地区、呉線で列車の運転本数の見直しが実施され、西条-広島間で286.2km、広-広島間で265.6km減少する点が目立つ。
全体としては関西空港アクセス列車の好調ぶりに支えられているということもあり、1日当たりの営業費用が402万5441円増えても問題はないのであろう。北海道新幹線開業の影に隠れて目立たないものの、JR西日本は今回のダイヤ改正のもう一人の主役と言ってよい。
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