「生前贈与」が使えない!これが相続の新常識 「毎年110万円まで税金ゼロ」は無意味になる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
生前贈与は毎年コツコツ110万円を非課税で親から子に渡せる制度だったが……(デザイン:杉山未記)
もう生前贈与は使えないのか━━。
2020年12月10日、自民・公明両党で発表された「税制改正大綱」。その18ページにある「相続税・贈与税のあり方」には、富裕層なら誰もが気になる一文が続けて掲載されていた。
「諸外国では、一定期間の贈与や相続を累積して課税すること等により、(中略)意図的な税負担の回避も防止されるような工夫が講じられている」
「今後、こうした諸外国の制度を参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、(中略)格差の固定化の防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める」
一見、何を意味しているのか、外から見るとわかりづらい。だが、財務省はもとより、族議員、税理士をはじめ、税の関係者たちは、すぐさま反応した。

相続・贈与税を一体化する意味とは

上記の一文を平たく説明すればこうだ。

日本でも海外のように、相続税と贈与税を一体化することで、贈与税を実質的に廃止する。財産を子に渡すのが親の生前か死後かで、資産のある者が得をするようなことがあってはならない。”格差をなくす”という大義の下、「生前贈与」という今までの節税策は使えなくなる。

『週刊東洋経済』7月26日発売号の特集は「相続の新常識」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

『週刊東洋経済』7月26日発売号では「相続の新常識」を特集。日本が急速に超高齢化社会に向かう中、相続の仕組みなどの入門から、よくある相続トラブルとその解消法、今でも使える節税策、さらに最新路線価で試算した3大都市圏の相続税額MAPなどを取り上げた。その中で、今後の相続のあり方にも大きな影響を与えるであろう、税制改正の展望にも触れている。

その前に、どんな場合に相続や贈与が行われるのか、簡単に説明しておきたい。

次ページ「資産移転の時期に中立的な税」の表現が
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事