タクシー運転手も避けて通れない「英語」の道 MKタクシーは、なぜ英語教育を強化するのか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

エムケイは外国人観光客を対象に、英語を話すことのできる運転手を派遣するハイヤーカーを1990年から導入してきたが、派遣できる運転手は当初20人程度だった。一方で、政府の方針もあり、年々訪日需要が高まる中、2009年にすべての運転手を対象とした英語教育への取り組みを始める。まずエムケイが企画したのが、正社員全員を巻きこんだ「英語寸劇大会」だった。

選ばれた社員がみずから英語寸劇の台本を作成

すべての社員から無作為の抽選で3人1組のチームを作り、台本の作成から寸劇までを英語で行う。「ホテル」、「寺・神社」、「料亭」などのテーマを割り振られ、それぞれのシチュエーションにおけるタクシー運転手と外国人乗客のやりとりを寸劇として披露する。英会話講師のチェックを受けながら、選ばれた社員たちがみずから台本を作成する。

予選、準決勝を勝ち残った10数チームは、観光庁や京都市内の主要ホテル総支配人などを審査員にむかえ、決勝を戦う。多忙な業務の合間に寸劇の準備をしなければいけないため、社員からの反発も強かったが、会社が英語教育に本気であることを示すために始めたという。

2009年から計3回の寸劇大会が開催され、第2回大会にアルバイトの英会話講師として参加したのが、リッラさんだった。当時リッラさんは、日本語専攻の交換留学生として京都大学に所属していた。日本語の響きが好きで、日本語の勉強を始めた。好きな日本語は「ちんぷんかんぷん」。

社員自ら寸劇の台本を作成している

「英語をまったく話せない人も、仕事後に寸劇作りに一生懸命に取り組んでいました。この人たちのために何かしてあげたいという気持ちになりました」(リッラさん)。「寸劇大会」で英語教育に取り組むエムケイのチャレンジ精神に魅力を感じ、大学卒業後も母国へは帰らず、エムケイへの入社を決意した。

次ページ日本にいても進む国際化
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事