物語コーポレーション、風評被害をはねのけ、食べ放題が絶好調。「焼き肉きんぐ」の強さとは?
焼き肉業界はこの1年間、深刻な客離れに悩まされていた。昨年4月に起きたユッケ食中毒事件に加え、7月には牛肉のセシウム汚染問題も浮上、赤字に転落するチェーンも現れたほどだ。
だが、物語コーポレーションは別格だった。他社の既存店売上高が大幅な前年割れに沈む中、同社は食べ放題の集客力を武器に、早々に前年実績を回復(左ページ図)し、好調ぶりを見せつけた。
同社は1949年に愛知県豊橋市でおでん屋として創業。95年には焼き肉業態の1号店をオープンさせた。それ以降、名古屋を地盤に、郊外の主要幹線道路沿いに「焼き肉きんぐ」「一番かるび」などの焼き肉店やお好み焼き店、「丸源ラーメン」などのラーメン店を展開し、急成長を遂げている。
前2012年6月期は焼き肉業態の好調で最高益を更新する見込み。今13年6月期も2ケタ増益で、連続最高益更新の見通しだ。
■客単価が高水準 リピーターも増加
主力の焼き肉きんぐは、07年3月に焼き肉店のテコ入れ策として開発された食べ放題の業態。牛肉だけでなく、豚肉や鶏肉、海鮮焼き、冷麺、うどん、ビビンバといった幅広いメニューが自慢だ。
バイキングではなく、客がテーブルに置かれたタッチパネルで注文する形を採っており、2480円で58品目、2980円で100品、3480円で120品目が食べ放題(各100分間)となる。「これまでの食べ放題はおいしくないというイメージがあったが、焼き肉きんぐは品質も高い」と、加治幸夫社長は胸を張る。