リクルートの「広告主」という“顔” 広告代理店だけではない

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 ちなみに上場するヤフーの有価証券報告書を見ると、2005年3月期から10年3月期までの間、売掛金の取引先として、リクルートは毎期数十億円単位で、常に上位5位内に入っている。一方、電通の大口先には、トヨタ自動車やパナソニック、花王が常連として100億円前後で名を連ねており、さすがにリクルートは入ってこない。

ただ、「笑っていいとも」(フジテレビ)などキー局の帯番組でスポット広告を毎日流しているのをはじめ、トータルでは相当な金額の広告宣伝費を、リクルート側が代理店を通じてテレビ局に“還流”しているのは間違いない。

かつては、リクルートが1976年に「住宅情報」を創刊する際、読売新聞が対抗して「読売住宅案内」を創刊、本気で潰しにかかった歴史がある。読売の営業部隊は、住友不動産や三井不動産、大京など大口クライアントに対し、リクルートより3割安い広告代を設定してきた。当時、新聞広告の主力は、求人と住宅の折り込み広告だったからだ。「他社の進出に初めて危機感を抱いたのは、読売新聞社が住宅情報誌に参入してきたときだ」(「リクルートのDNA」〈角川書店、江副浩正著〉より引用)。

が、その後はリクルートの企業規模が大きくなるにつれ、自身が新聞やテレビに積極的に広告を出すようになった。TVや広告代理店とは、互いに株も持ち合い、ある種“大人の関係”を構築したとも言える。メディアなのか、広告代理店なのか、それとも企業の広告宣伝の先兵役なのか--。特異な立ち位置のリクルートは、競合と協調の間で融通無碍にポジションを変え、ここまで生き延びている。

週刊東洋経済2012年8月25日号(8月20日発売)では、リクルートの真実を徹底レポートしている。

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。大野和幸(X)

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