新日鉄が建材でも海外展開加速、豪ブルースコープ社の東南アと米国の事業に50%出資

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 ブルースコープは、元BHPスチール社。本体のBHPビリトンが資源会社にシフトするなかで02年に独立した。特許も保有して強力だったガルバリウム鋼板(溶融めっき鋼板)など建材分野では圧倒的なシェアを誇る。ただ、足元では、同社が保有する高炉2基のうち1基を休止、熱延工程も縮小するなど、原板供給能力に課題が出ていた。また、強みのガルバリウムの特許が切れるなか、次世代製品の開発に苦慮しており、新日鉄の研究開発力にも期待を寄せた格好だ。

新日鉄にしても、めっきなど表面処理分野では自動車用鋼板で積極的な海外展開を見せるものの、建材向けでは世界的にマイノリティな存在。13日の会見に臨んだ樋口眞哉副社長(上写真の左側)は「建材分野をもう一度見直したい。ただ、これから一からやるのでは時間がかかる。ブルースコープは建材部材の拠点をずらりと持っている。その時間を買おうとしたもの」と狙いを語った。ガルバリウム鋼板では米国西海岸で独占状態、世界でも5割強のシェアを持つ最大手、ブルースコープのネットワーク力の活用が大きな狙いといえそうだ。

また、新日鉄にとっては原板供給先としての位置づけも大きい。世界的な粗鋼生産能力を誇るものの、その上工程に余力が生じている。新会社が東南アジアで75万トン(熱延30万トン、冷延45万トン)、米国で45万トン(全量熱延)を必要とする点から、その最大供給者となることは、製品供給先を確保する面でも大きい

新会社の業績貢献は2014年3月期からとなる。新会社は持ち分適用会社となり、経常利益で100億円近い貢献が期待される。

8月に入り、6日に住友鋼管とメキシコでの自動車用鋼管合弁の設立、7日に中国でのブリキ合弁の増強など、矢継ぎ早に海外展開の加速を決める新日鉄。そのなかで、数量規模の大きい市場である建材部門についても、新生・新日鉄住金が大きな柱として展開することになりそうだ。

(山内 哲夫 =東洋経済オンライン)

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