相鉄、ネイビーブルーで挑むメジャーへの道 初の都心乗り入れで「選ばれる沿線」目指す
「都心に乗り入れていくということで一番注目されるのは車両。上質感があり、ブランド力の高い車両は走る広告塔になる」。相鉄ホールディングス経営戦略室の鈴木昭彦・ブランド戦略担当課長はこう語る。そのためには、利用者に一目で違いの分かる車両が必要だ。
ネイビーブルー一色というインパクトのある塗装の狙いはここにある。コンセプトは「古くならない、醸成するデザイン」「普遍的な色・素材」だという。
新塗装のネイビーブルーは「横浜の海をイメージし、上質感のある普遍的な色、流行に左右されない色として決めた」(鈴木さん)。色は塗料メーカーと相談して新たに調合し、さまざまな色合いを試した上で選んだ。イメージ画像で光沢のある色として描かれている通り、乗用車などに使われる「マイカ」と呼ばれる輝きのある塗装になるという。
都内を走る電車は、銀色のステンレス車体にラインカラーを入れたデザインが大半だ。「そこに車体全体を塗装した電車が走れば注目される」(鈴木さん)。まずは「相鉄」と分からなくても、ブルーの電車で都内の利用者の目を引き、乗った際には車内の広告などで相鉄がどこを走っているかを知ってもらう。さらには沿線を「住む場所」としての選択肢に入れてもらう、という狙いだ。
照明も昼夜で色調変える
相鉄の電車は、かつては形式ごとに塗装のデザインが違った。現在のカラーが導入されてからもまだ約8年とそれほど時間が経っていないため、今回の塗装変更について「ネット上では『今度はいつまで続くんだろう』といった声もあった」と鈴木さんは苦笑する。
だが、今回のデザインは「新しい100年をつくる中で、100年経っても色あせない、変えないという決意のもとに見直した」。例に挙げるのは、長年マルーン(茶色)の塗装を続けている阪急電鉄だ。
デザインの一新は外観だけでなく、車内にも及ぶ。現在、外観とともにリニューアル工事を進めている9000系は、内装もグレーを中心としたデザインに改めるほか、編成の一部に設置しているボックスシートには、スコットランド製の本革を使用する。2013年に幕張メッセで開催された「第3回鉄道技術展」の会場で着目した素材で、2年をかけて実現にこぎ着けた。
このほか、LEDを使用した車内の照明も、タイマーによって昼と夜で色調を変える機構を大手私鉄で初めて採用。夜は電球色のような色調に変わる。
「ベッドタウンの路線なので、帰ってくる方々に『お帰りなさい』という意味合い」(鈴木さん)だ。目指しているのは「日常使いの上質感」だという。
新しいデザインの車両は来春から登場し、順次全車両を新塗装に統一していくほか、今後登場する予定の都心乗り入れ用車両も、新しいデザインコンセプトに基づいて製造されることになる。「都心で乗った方に『当たりだな』と思わせる電車をつくりたい」(鈴木さん)、「沿線に住むというプライドをくすぐられるような電車にしたい」(長島弘和・相鉄HD経営戦略室部長)と、新デザインの車両にかける期待は高い。
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