【産業天気図・家電/AV】年末商戦は北米消費と為替動向が懸念材料。08年度は北京五輪需要に期待

家電・AVの2007年度後半は「曇り」、来08年度は「晴れ」とみている。
 07年9月中間期はひとまず堅調だったと言えるだろう。増益となった企業の中で、最も増益率が高いのがソニー<6758>だ。上期営業利益は1897億円、前期比2953%と大幅に伸長したが、これは前期のパソコン用リチウムイオン電池の回収・交換費用512億円がなくなったうえに、本社跡地の一部売却益607億円を計上したため。またデジタルカメラを牽引役にエレクトロニクスが復調していることも大きい。
 ソニーのライバル、松下電器産業<6752>も前期比6%増と安定した伸びを見せた。成長を牽引してきたプラズマテレビは液晶との競合激化で勢いにやや陰りがみられるものの、国内外でデジカメ等が販売を伸ばしたほか、グループの松下電工やパナホームも貢献した。
 一方、予想外の減益となったのがシャープ<6753>だ。液晶テレビの販売台数は好調だったものの、ポーランドなどの生産拠点立ち上げ費用の増加や、亀山第2工場の能力増強や法人税法の改正による減価償却費の増加が重くのしかかった。さらに太陽電池の原料となるシリコン不足と価格高騰なども響いた。パイオニア<6773>、日本ビクター<6792>は薄型テレビの採算悪化に苦しむ状況がここ数年来続いている。
 AV・家電メーカーにとって、本当の勝負はこれから。AV・家電は年末商戦が最需要期であり、上期よりも下期のほうがそもそも収益の比重が高いためだ。
 ただし、今年の年末商戦に関しては懸念材料がある。1つは北米の消費動向だ。サブプライム(信用力の低い個人向け住宅融資)問題の影響で消費者の購買意欲が減退すれば、一気に業績が落ち込む可能性がある。特に、ソニーや松下といった海外での販売規模が大きなメーカーが受ける影響は大きい。
 さらに為替からも目が離せない。家電各社の想定レートは1ドル=115円で、上期は円安の恩恵を享受した。ユーロ高が続いていることもプラスに働いている。だが、もし下期に急激な円高が進行するような事態になると、通期では各社とも低調な決算になる可能性もある。今のところ、海外で販売が失速したという話は出てきていないが、「サブプライムなどの影響は誰にも読めない」(ソニーのハワード・ストリンガー会長)ため、慎重な見方が必要だろう。
 09年3月期は北京オリンピックが開催され需要の急拡大が見込めるため、業界の天気も明るさを増すとみている。それだけに各社とも今年の年末商戦できっちり稼いで来年度に向け弾みをつけたいところだが、楽観は許されないだろう。
【中島 順一郎記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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