中国から1万8000人が国外逃亡? 汚職マネーが流出する
福建省人民検察院政策研究室副主幹の林雪標氏によると、国連腐敗防止条約と国際組織犯罪防止条約の二つが発効する直前の03年8月、汚職官僚が国外に逃亡しようとする事件が多発した。北京や天津、上海、広州などの空港で、60人以上が逮捕された。また国際組織犯罪防止条約が発効した後の03年9月から10月には、150人以上が逮捕された。
ワースト2は金融と国有企業
資金の不正持ち出しと国外逃亡が多いのは、金融業と(金融以外の)国有企業だ。政府系機関の国家社会科学基金の調査によると、国外逃亡を企てた者のうち、この2業態が87%を占めている。
驚かされるのは、その金額の多さだ。00年にオーストラリアから送還された上海の企業社長の横領金額は7億6000万米ドル。01年に中国銀行の支店長が共謀者と着服した金額は4億8300万米ドル。05年に中国銀行の支店長が国外に持ち出した金額は8億3900万元(約109億円)だった。
「国外逃亡した汚職官僚の多くは国有企業の幹部か出先機関のトップで、経営と財務の両面で絶対的な支配権を持っており、国有資産をほしいままにしている」と李氏は言う。
李氏は、「『裸官』(妻子を国外に移住させ単身で国内に残っている官僚)が国外逃亡の予備軍だ」と指摘する。