サウジアラビアに傾注する住友化学の危うさ

収益貢献はまだわずか

サウジアラビアに傾注する住友化学の危うさ

住友化学は、サウジアラビアで展開する世界最大級の石油化学コンビナート「ペトロ・ラービグ」の増設を決めた。

2009年から稼働する第1期に続く第2期計画で、総投資額は70億ドル(約5600億円)。2期では基礎原料であるエチレンやプロピレンを増産するほか、ゴムや合成樹脂(プラスチック)など10種類を超える石油化学製品の生産設備を新設。16年から順次稼働する。

国営石油会社サウジアラムコとの合弁会社に37・5%ずつを出資(残り25%はサウジの一般投資家)する住友化学は、2期工事で約1000億円を負担する見通し。約1兆円のプロジェクトだった1期の分を合わせると、住友化学のラービグへの投資総額は約2600億円を超える。

ラービグの魅力は、コスト競争力の高さだ。エチレンの原料には、世界で最も安いとされる天然ガスのエタンを用いる。ナフサ(粗製ガソリン)を使う日本の石化製品と比べると、原料コストは25分の1~30分の1に収まるという。

収益貢献はまだわずか

ところが、これまで誤算続きだ。

「昨年までは収益に大きく貢献していない」。石化担当役員の石飛修副社長は言う。当初は折半出資で設立した合弁会社だったが、サウジ側の要請で出資比率を抑えられ、決算上、持ち分法投資利益としてしか取り込めなくなった。建設費も倍以上に膨らんだ。そのうえ、初期段階から安定操業がおぼつかない。現地作業員の習熟に時間がかかり、設備トラブルも続いた。昨年は欧州危機懸念から市況も軟調だった。

持ち分法投資利益を見ると、直近12年3月期はわずか5億円強。13年3月期は、稼働安定を前提に、50億~80億円程度を稼ぐ算段のようだが、不透明要因は少なくない。

 

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