「職場は部活じゃない」――昭和な体育会系上司の"お気に入り"だった元・野球部社員が、休日の釣りや飲み会に疲れて作った「しないことリスト」

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【ハヤトさんの意思決定のプロセス】

① 問題の認識 上司との付き合い方は工夫している最中だが、付き合い続けることに限界がある。

② 情報収集 社内で異動できる可能性はどのぐらいあるのか調べたり、転職の可能性についてエージェントに話を聞いてみた。

③ 選択肢の生成

A異動:異動願いを出すとしたら、最短で年末だ。下半期の面談で異動希望を話すといいようだ。希望理由は人間関係ではなく、別の業務への意欲を示すと通りやすい。

B転職:同じ業界だと9月の転職が狙えそう。待遇は今とあまり変わらないようだ。

④ 評価と比較

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A異動:異動は引っ越しもしなくていいし、ある程度その部署にどんな人がいるかわかるので、予測しやすい。

B転職:完全にその上司と離れることができてすっきりできそうだが、転職先での人間関係は全く読めない。

⑤ 決定

⑥ 実行

⑦ 評価

「評価と比較」のプロセスまで進んだハヤトさん。

「自分は何を重視しているんだろう。上司が苦手で離れたい一心で転職も考えたけど、そもそも仕事で何を成し遂げたいんだっけ。人生で何を大切にしていきたいんだっけ」

本質的な問いかけができるようになりました。

仕事の人間関係、評価、労働時間の長さなど、回避したいものは多々ありますが、それだけで仕事を変えるのはもったいないかもしれませんね。

体育会系のハヤトさんがスキーマを見直すために、すること・しないことリストの仕分けを作ったことは非常に効果的でした。

「不器用なりに割り切るって何かわかったぞ。事前準備は大事だ。慌てないで済むから」

「仕事が終わらず行けない」「魚釣りには興味がない」

一方でお世話にもなってきた上司なので、不義理なことはしたくなかったというハヤトさん。飲み会やランチの誘いを断る際には、「仕事をこなすのが遅くて行けそうにない」などと理由を伝えて断りました。休日の魚釣りの誘いについては、正直に魚釣りに興味がないこと、でもこれまでと変わらず上司を尊敬していることを伝え、自分なりに礼を尽くしたそうです。

上司は、急にそんなことを言い出したハヤトさんに驚いて、いつものノリで「いいから、いいから、行こう!」と誘ってきましたが、それでも遠慮がちな表情ではありながら首を縦に振らないハヤトさんの表情を見て、強引な誘いをやめてくれました。ハヤトさんは「悪いことしたなあ」と罪悪感も覚えましたが、耐えました。

これからじっくりと、仕事のやりがいについてもう一度考えてみるつもりです。

中島 美鈴 臨床心理士、公認心理師、心理学博士

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なかしま みすず / Misuzu Nakashima

福岡県生まれ。専門は認知行動療法。2020年、九州大学大学院人間環境学府博士後期課程修了。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学 人文学部などでの勤務を経て、現在は九州大 学大学院人間環境学府にて学術協力研究員、肥前精神医療センター臨床研究部非常勤研究員。主な著書に『マンガで成功 自分の時間 をとりもどす 時間管理大全』(主婦の友社)、『もしかして、私、大人のADHD? 認知行動療法で「生きづらさ」を解決する』(光文社新書)などがある。朝日新聞デジタルにてコラムを連載中。

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