「日本の法律は加害者に甘い」「加害者は晒されて当然」 は間違い?《中高生の暴行動画》"モザイク有"や"リポストだけ"でも違法になりうるワケ

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そのため、法的には、肖像権であれば受忍限度を超えるものとして肖像権侵害と判断されやすくなりますし、プライバシー権であれば「公表されない利益」と「公表する利益」を比べたとき、前者を優先すると判断されやすくなります。

暴行動画の拡散によって発覚した事案もあり、被害者が泣き寝入りしないで済んだ、という場合、被害を止める、再発を防止するという目的において「暴行動画の公表、拡散が一番有効なんだから、法的にも許されるべきじゃないの?」という反論もありえます。

ですが多くの場合、その目的は、「ネット上で世界中に拡散させる」以外の手段でも達成できる、と一般的には考えられます。具体的には、「証拠を確保して学校、教育委員会、警察に通報する」といった代替手段がある以上、「公表の必要性」は相対的に弱いと判断されやすくなるのです。

デスドルノート へずまりゅう
「いじめ撲滅委員会」と称し、暴行動画を投稿しているインフルエンサーの「デスドルノート」。元YouTuberで奈良市議会議員のへずまりゅう氏と同盟を組んだと報告した(写真:Xアカウント@DEATHDOL_NOTEより)

暴行動画を公表しなくてもいい世の中に

正義感からの暴行動画の公表、拡散は、容易に「権利侵害の連鎖」へと変わります。暴行動画の公表、拡散の前に、本記事の内容を少しでも思い出してもらえればと思います。

また、法的な話からはズレますが、暴行動画の公表、拡散が起きる背景には、「正規ルートに任せても動かない」「泣き寝入りになる」という不信感もあり、暴行動画の公表、拡散を非難するだけでは解決になりません。

被害申告がすぐに受理され、証拠が適切に保全され、加害行為が早期に調査・是正される仕組みが整うこと、被害者や第三者が暴行動画の公表・拡散という危険な手段に頼らなくて済む「社会インフラ」が整うことが望まれます。

宮川 舞 銀座数寄屋通り法律事務所 弁護士

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みやがわ まい / Mai Miyagawa

東京弁護士会所属。会社間の紛争を中心に、訴訟を多く手掛ける。また、『名誉毀損の慰謝料算定』(学陽書房)の執筆陣に名を連ねるなど、名誉・信用・プライバシー・肖像・パブリシティの侵害に関わる研究や事案に造詣が深い。弁護士による誹謗中傷対策 弁護士宮川舞公式サイト

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