権利付き最終日が近づく今の時期だから考えたい、「株主優待」の抱えるリスク

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3点とも個人投資家に向けられたものであり、国内外の機関投資家は対象外です。しかし、株主優待によって多くの個人投資家が自社株に関心を持ってくれれば、株式流動性が増すとともに、株主が多様化して企業経営が洗練されていきます。結果として機関投資家にも恩恵がもたらされる――そうした役割も株主優待には期待されているといえます。

そんな株主優待ですが、いい話ばかりではありません。実は株主優待には大きなリスクが潜んでいることがあるのです。

業績不振でも株価は高止まり

ある会社の事例をご紹介します。

業績は長期にわたって低迷し、直近は連続赤字に転落、無配も長期間連続しています。それでも株価は下がらず、安定して推移しています。そんな状態であれば、株価は右肩下がりになってもおかしくないのですが、ずっと横ばい。この構図を支えている大きな要因とみられるのが、株主優待なのです。

その会社の株主優待は100株保有で1万円の自社店舗お買物券です。現在の株価はおおよそ1000円で、100株買うと10万円ですから優待利回りはなんと10%。これが株価を下支えしている構図です。

本来であれば業績に応じて株価は下がり、たとえば今の半値の500円にもなってしかるべきです。ただ、そうなると100株保有しても5万円の投資で、1万円の株主優待から逆算した利回りは20%(10000÷50000=20%)に跳ね上がります。

それなら、赤字であっても無配であっても、株主優待利回りだけを目的にこの会社の株を買おうとする投資家が出てくるのも当然です。その結果、この会社の株価は1000円レベルを維持できているのです。

株主優待によって株価が下支えされているとみられる事例は、挙げればキリがありません。

株主優待そのものに問題があるわけではありません。会社として株主優待を実施するのは至極当然の判断であり、BtoCビジネスを展開しているのであればなおさらです。

では何が問題なのでしょうか。それは、株主優待によって企業価値が「かさ上げ」されてしまうこと。それによって、市場のけん制機能が失われてしまうことです。

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