東京メトロ「おいしい株主優待」で株価が上昇? 「ファン株主」の多い鉄道会社ならではの工夫

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
めとろ庵のかきあげ
東京メトロが運営する「そば処めとろ庵」。かけそば・うどんは420円で、トッピングのかき揚げは150円(記者撮影)

東京地下鉄(東京メトロ)の株価が上昇している。2月17日には場中に1866.5円をつけ上場来高値を更新した。その後も高値圏を維持している。

2024年の大型新規株式公開(IPO)となった東京メトロ。10月23日の上場直後の初値は1630円と、売り出し価格の1200円を大きく上回った。11月26日の高値1830円まで上昇した後は、いったん調整局面に入ったものの、12月下旬ごろから再び右肩上がりとなった。

株価上昇の要因としては、まず業績が好調なことが挙げられる。今2025年3月期は、売上高4075億円(前期比4.7%増)、営業利益880億円(同15.2%増)になると会社は見込む。第3四半期までの累計実績は売上高3061億円、営業利益777億円と、「計画どおりの線で推移している」(経営企画本部IR室長の市川裕信氏)という。

在宅勤務からのオフィス回帰の動きを受けてビジネス利用客が増えただけでなく、旺盛なインバウンド需要も鉄道収入を押し上げている。観光地を結ぶ銀座線や日比谷線はとくに混雑している。

ただ、株価上昇の要因は業績だけではない。多くの鉄道関係者が指摘するのが、「株主優待の人気」だ。ある私鉄大手の幹部は語る。

「東京メトロは、他の私鉄大手とは『毛色』の違う優待を打ち出した。決してお得感があるわけではないが、個人投資家には新鮮に映ったようだ」

優待が「バズっている」

東京メトロは株主優待として、片道1回限りで利用できる「乗車証」を発行する(年2回発行、以下同)。所有株式数に応じてもらえる枚数は増える。

「個人投資家には『都心で利用できるので使いやすい』との評価をいただいている」と市川室長は説明する。だが鉄道会社の株主優待として、無料乗車券はオーソドックスなものだ。

私鉄大手の幹部が「毛色が違う」と指摘したのは、東京メトロが運営する「そば処めとろ庵」で利用できる「かき揚げトッピング無料券」のことだ。200株以上を所有する株主に対して、3枚の無料券を配布する。この優待が「バズっている」(大手私鉄の中堅社員)というのだ。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事