マルクスもケインズもシュンペーターも、みんな間違っていた…世界に混沌的危機をもたらした<経済学の罪>とは?「22世紀の経済理論」への試み

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ケインズは金融市場を持ち込み、需要と供給のギャップが常に生じうることを指摘したわけだが、失業や有効需要が問題なのではなく、供給の質と中身、消費の質と中身が問題となった20世紀後半には、別の枠組みが必要となった。

金融市場が常にバブル的となり、必需品でなく富裕層のキャピタルゲイン的な金融所得による嗜好品の消費(無駄遣い)が実体経済の景気や拡大を支配する経済には別の視点の理論が必要だったわけであるが、経済政策は本ではなくパンフレットで対応ということが、理論においても起きてしまい、新しい経済構造に対する理論に移行する必要が生じた。

シュンペーターのイノベーションという概念は変質し(悪用され)、資本家と起業家が結託して、新しい無駄な消費需要を奪い合う競争に適用される堕落した概念となってしまった。

つまり、目新しいエンターテインメント品(暇つぶし品)を独占的に供給することによるレントをいち早く奪い合う、早い者勝ち競争において一歩先んじることがイノベーションとなり、誰が起業家ビリオネアになれるかの競争こそが資本主義における切磋琢磨、正しい生き方だという価値観を社会に植え付け、資本主義経済の堕落だけでなく、社会をも堕落させてしまった。

これがわれわれの社会経済の現在地である。

22世紀の経済理論に向けて

したがって、私の役割は、現在地の問題を解決するために、現代の社会経済構造を分析するのに適切な経済理論を打ち立てることであり、それが22世紀の社会経済の成熟的充実を準備することになると考える。

そのための材料を試行錯誤するのが、この連載というわけである。

大風呂敷を広げたため、かなり荒く、数学的理論も統計的実証もない議論になるが、私の理論体系がわずかながらも21世紀と22世紀の経済を分析するのに示唆があることを目指して、真実を見抜くために、それらを犠牲にしても突き進みたい。

この試みから出てくる示唆を理論化し実証しようと思う、奇特で物好きな人が現れてくることを期待して、ともかく、実験的理論体系構築のための議論を開始することとしたい。(本連載は原則毎週金曜に掲載します)

小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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