富士通PCが40年越しに個人向け市場でトップシェアを獲得。その背景にある迅速な意思決定と企業風土改革とは

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かつての富士通では、89年7月に米Poqet Computerに出資する一方、90年には英ICLを買収して、欧米でのPC事業の礎を築いたが、約35年ぶりに、日本市場だけにフォーカスした体制へと戻ったことになる。

PC事業は、ボリュームビジネスでもあり、海外事業の撤退により、売上高が約4割も縮小することは大きな打撃と見えるが、「世界最大規模の出荷量を誇るレノボグループの視点で見れば、影響は微々たるものである。コスト構造の悪化などの影響はまったくない」と言い切る。

富士通
国内最大のPC工場である島根県出雲市の島根富士通(筆者撮影)

残るのは若年層の獲得

個人向けPC市場でトップシェアを獲得したFCCLにとって、唯一の課題が若年層への浸透だ。

25年1月に発表した若年層向けの「FMV Note C」が、その打開策になるはずだったが、「成果は道半ば」と現時点では手厳しい評価をする。

「FMV Note C」は、20代の若手社員で構成したFMV From Zero Projectによって開発したもので、ブランドマネージャーに3人の若手社員を起用。学生たちの声を聞き、モノづくりを進めてきた。

「発売直後は、学生の新生活のスタート時期であり、多くの学生から支持を得て、購入してもらうことができた。その点では成功だった」としながらも、「だが、あまりにも学生向けという訴求をしたため、春の需要期が終わると、勢いを維持することができなかった反省がある」とする。「製品ライフサイクルは半分以上ある。ビジネスマンを含む、若い人たちに最適なPCとして、改めて訴求していきたい」と意気込む。

個人向けPCでトップシェアを獲得したFCCLであるが、残念ながら、カフェなどで、FMVブランドのPCを使用しているユーザーを見る機会はまだ少ない。これも若年層への浸透が遅れていることの表れだ。

「若年層の領域では、まだトップシェアを取れているわけではない。若い世代に使ってもらうことが、将来にわたって、FMVを活用してもらうことや、継続的な事業の維持にもつながる。26年も、若年層に対するアプローチは重要な取り組みになる。これは、単発的な取り組みで終わらせずに、継続的に投資をしていく」と大隈社長は意気込む。

40年以上を経過して、個人向けPC市場において、初めて獲得したトップシェアを、これからも維持するためには、最後に残された若年層でのシェア獲得が重要な鍵になる。これは、大学生などに高い人気を誇るアップルの牙城に挑むことを意味する。若年層でのトップシェア獲得という高いハードルへの挑戦が、26年以降のテーマになる。

富士通
富士通パソコンの歴史は40年以上におよぶ(筆者撮影)
大河原 克行 ジャーナリスト

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おおかわら かつゆき

1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。IT産業を中心に幅広く取材、執筆している。現在、ZDNetの「大河原克行のエンプラ徒然」(朝日インタラクティブ)、PC Watchの「パソコン業界東奔西走」(Impress Watch)、クラウドWatch、家電Watch(以上、Impress Watch)、ASCII.jp (KADOKAWA)、日経トレンディネット(日経BP社)などで定期的に記事を執筆。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下からパナソニックへ」(アスキー・メディアワークス)、「図解 ビッグデータ早わかり 」(中経出版)など。

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