富士通PCが40年越しに個人向け市場でトップシェアを獲得。その背景にある迅速な意思決定と企業風土改革とは

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「FMV Note Cがターゲットとする若年層を調査した結果、そもそも紙のマニュアルは読まない、捨ててしまうという声が多かった。製品コンセプトやユーザーターゲットをもとにすれば、紙のマニュアルを廃止することは、7割は正解だといえる。だが、FCCLには、紙のマニュアルを長年付属してきた理由がある。困ったときに必要な情報にたどり着けなくなる、クレームが増えるなど、紙のマニュアルを付属しなくてはならない理由はいくらでも出てくる。だが、それらを詰めていったら時間ばかりがかかり、新しいことにも挑戦できなくなる。私がリードして、7割合っているならば、それで進め、紙のマニュアルを無くすことを決定した。そのうえで発生する困りごとを、どう解決するかを考えた」

FMV Note C
若年層向けに開発したFMV Note C(筆者撮影)

現在、FCCL社内では、意思決定のスピードを優先するために、こうした変化が随所で見られている。迅速な意思決定が、市場変化への柔軟な対応につながり、小さな成功の積み重ねを実現することになった。

売上高4割減も前向きな理由

もう1つ、FCCLにとって重要な変化が、日本市場にフォーカスした事業体制へと移行したことだ。

FCCLが開発、生産した法人向けPC事業の販売は、富士通が行っており、欧州を中心とした海外法人向けPC事業も大きな柱の1つだった。しかし、富士通では、24年度に欧州PC事業から撤退。FCCLも海外法人向けPC事業から撤退することになった。

さらに、21年以降、アジアを中心に8カ国において、海外個人向けPC事業を、FCCL自らが推進してきたが、現在は、これも完全に撤退している。

FCCLが得意とする軽量化の価値が日本ほど認められにくいことや、海外事業における収益性の悪化などが、撤退の背景にある。

海外における富士通ブランドPCの完全撤退によって、FCCLの売上高の約4割が無くなるという大きな影響を受けることになったが、大隈社長は、これを前向きに捉えている。

「海外市場から撤退したことで大幅な減収にはなったが、増益を維持している」とする一方、「海外のお客様に受け入れてもらうための仕様などを考慮することがなくなり、日本のお客様に100%フォーカスした製品開発ができるようになった。日本のお客様だけを見て開発し、生産した、日本のお客様のためのPCブランドに再定義することができる」。

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