過半数占める政党なしのフランス議会、水面下で進む政界再編、マクロン大統領の凋落で第五共和政崩壊の危機
1980年代からRNの前身の国民戦線(FN)は確実に票を伸ばし、父親のルペン氏も大統領選に出馬した。娘のマリーヌ・ルペン氏は父親の路線を変え、政権政党への脱皮を試み、今や下院の最大会派にのし上がった。
RNにとっての壁は、彼らがかつてナチス支持者だったことで、左派だけでなく、中道右派、共和党も距離を置いてきたことだ。
マクロン政権は崩壊寸前
歴史的進化を遂げてきたルペン氏およびRNは、過去の敗北から「怒り」より「生活」、「イデオロギー」より「実務」を重視する候補へ変貌し、過激な挑戦者から制度内で熟練した政治家と政党をアピールしている。
一方、イスラム教の台頭の現実から、大都市でカトリック復興運動を推し進める極右のエリック・ゼムール氏(67)にも支持が集まっている。バルデラ氏が有力候補となったことで、共和党は距離を縮めている。
また、急進左派のジャン=リュック・メランション氏率いる「不服従のフランス党」にも根強い支持者がいる。彼らは資本主義、自由市場主義そのものを否定しており、年金政策に至っては現状の退職年齢62歳を60歳に引き下げるべきと主張している。今でも反政府抗議デモで動員力を誇っている。
人口に占める移民比率が日本の3倍以上の11%を超えているフランスでは、移民問題は反移民感情で大きな社会問題となっている。人材不足を補い、人道主義も手伝って移民を受け入れてきたフランスでは移民問題は右傾化に拍車をかけている。ポピュリズムの台頭は世界的現象であり、多党化時代の一つの流れとして無視できない。
フランスは政党が時代に合わなければ、解党し、新たな政策のもとに政治家が再結集を繰り返してきた。25年12月10日に発表された世論調査によると、右派の回答者の3分の2が、国民連合と共和党の選挙協定に賛成していることが明らかになった。来年3月の市議会選挙で、国民連合と共和党の共闘の是非が試される。
決められない政治が長引けば、国家は衰退の危機に陥る可能性が高まる。マクロン氏はすでに孤立しており、いつ政権が崩壊してもおかしくない状況だ。その意味で政界再編を急ぐ現実主義がフランスの政治を大きく動かす可能性は高い。
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