過半数占める政党なしのフランス議会、水面下で進む政界再編、マクロン大統領の凋落で第五共和政崩壊の危機

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日本もフランスも政治決定の難航という課題はあるが、フランスの場合は政権崩壊だけでなく、シャルル・ド・ゴール時代の1958年に発足した第五共和政そのものが、時代の変化に対応できず、政治体制そのものの存続が危うい状態だ。

フランスは17年の大統領選挙と続く総選挙で、ビジネス界のエリートで史上最年少の39歳のマクロン氏を大統領に選んだ。大きな変化は左右のイデオロギー対立を脱した中道政治の出発だったが、今ではマクロン氏の支持率は15%前後で史上最低を更新している。

解散・総選挙、大統領選の前倒しも

さらに22年の第2期政権では首相が実に5人交代しており、しかも、バルニエ氏、バイルー氏の2人は保守の重鎮だったことを考えると、フランス政治は過去にない混乱の時を迎えている。

大統領は外交、首相は内政という暗黙のルールはあったが、首相の頻繁な交代はマクロン氏の指導力の限界を顕著に表している。そのため、27年に実施予定の次期大統領選の前倒しも指摘されている。

フランスの憲法では、大統領には議会解散権がある。実施から1年以内には解散はできないが、昨年6月に解散総選挙を実施しているので解散は可能だ。

仮に26年度予算案が49条3項で可決されれば、激しい抗議デモが起きるのは必至で、一方、可決されずに再び内閣不信任案が提出され、予算が決められなければ、解散総選挙や次期大統領選の前倒しもありうる。

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