過半数占める政党なしのフランス議会、水面下で進む政界再編、マクロン大統領の凋落で第五共和政崩壊の危機
問題の核心は、第五共和政が時代の変化に対応できず、政治危機に陥り、第六共和政への移行がささやかれていることだ。首相に任命されたルコルニュ氏が、25年10月5日に新内閣の閣僚名簿を発表したが、与野党双方から激しい批判を受け、政権発足からわずか14時間後の10月6日に首相を辞任したことは、その顕著な例の一つだった。
こうした制度の弱体化は、改革の時期が来ているのではないかという疑問を提起している。それは国家観そのもののリセットを意味する。24年12月にフランスの調査会社オドクサが実施した世論調査では、フランス人の56%が第六共和政を支持しているという結果もある。
第六共和政への移行?
第六共和政への移行では、何人かの憲法学者が指摘するように、ドゴール時代の危機の際に大統領に付与される特別権限を定めた憲法第16条を廃止するのが今日の緊急課題であるという点で意見が一致している。
つまり、選ばれる大統領に「悪人はいない」「大きな間違いは犯さない」という大前提自体が、大きなリスクを抱えているという指摘だ。実際、世界の専制主義国家だけでなく、民主主義国家でも過度の権力の集中は国を亡ぼす可能性がある。
激動する世界情勢の中で強いリーダーシップによる豊かで強い国家実現は必須な一方、政治の意思決定に至る有権者の意向の集約も求められている。
日本では高市氏の強い信念とリーダーシップで政治が動き始めたわけだが、日本でも与党自民党に対する有権者の不信感はぬぐわれていない。一方、外国人排斥のポピュリズム政党、参政党に自民党票が一定数流れている。
フランスは次期大統領選で有力候補の1人、極右政党「国民連合(RN)」の前党首マリーヌ・ルペン氏は、公設秘書の給与を党の活動資金に流用した罪で25年3月、被選挙権5年停止の有罪判決を受けた。
控訴中だが次期大統領選への立候補は難しい。その場合、RNの現党首、ジョルダン・バルデラ氏(30)が立候補することになる。バルデラ氏の人気も高い。


















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