プーチン氏の娘が莫大な資産を築いていた 台頭するロシア新エリート層
イノプラクティカにはプーチン氏に近しい人物がアドバイザーやパートナーとして関わっている。その中には、同氏とKGB時代の仲間だったセルゲイ・チェメゾフ氏とニコライ・トカレフ氏も含まれている。
チェメゾフ氏は現在、国営ハイテク会社「ロステック」の最高経営責任者(CEO)。トカレフ氏も国営石油パイプライン会社「トランスネフチ」のトップを務める。
同プロジェクトのサイトによると、他にも国営石油大手「ロスネフチ」のイーゴリ・セーチン社長や前述のガスプロムバンクのアキモフ氏も理事に名を連ねている。
チホノワ氏とイノプラクティカについて、ロイターがアキモフ氏に尋ねると、チホノワ氏がプーチン氏の娘だと知っていたが、イノプラクティカは自行の「科学的発展を支援するというグローバルな考え」などと一致し、家族関係とは関係なく支援を決めたと話した。
ロシアの公的記録によると、チホノワ氏が責任者となった2013年以降、NIDFはロスネフチ、国営原子力企業ロスアトム、トランスネフチから1億8200万ルーブル相当の契約を獲得している。ロイターが調べた契約10件のうち、8件が競合する団体が他に存在しなかった。契約の大半は大学での研究に使われることになっていた。
チホノワ氏は2015年3月、モスクワ大学の副学長補佐に任命された。この職で同氏が給料を得ているかは定かではない。プーチン氏とのつながりについては触れていないものの、キャンパス拡張計画におけるチホノワ氏の役割については、ロシアの通信社RBCが1月に報じていた。同職については、前述のナワリヌイ氏が最初に伝えていた。
ダンスの達人
チホノワ氏の活動は大学だけにとどまらない。この名前で長年、アクロバットロックンロール・ダンスの競技に出場している。2013年にはスイスで開催された世界選手権で5位に入賞した。
現在、同氏はロシアのアクロバットロックンロール連盟で組織委員会2つのトップも務めている。連盟のスポンサーには、シブール、独立系天然ガス企業ノバテク、ガスプロムバンクなど、プーチン大統領の友人たちによって共同所有もしくは共同支配される企業が名を連ねている。その中には、ティムチェンコ氏やキリル・シャマロフ氏、キリル氏の兄であるユーリ氏の名前もある。