〈インタビュー〉フジ・メディアHD清水社長が思う「フジテレビ問題の核心」/同質性が高すぎて過ちに気づきにくい状況に

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フジ・メディア・ホールディングスの清水賢治社長
2025年1月にフジテレビ代表取締役社長に就任、6月からフジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長も務める清水賢治氏(撮影:尾形文繁)
元タレントによる性加害トラブルが週刊誌報道で発覚してからちょうど1年。フジテレビはこの間、かつてない変革の渦中に立たされた。
一度は離れたCMスポンサーもかなり戻ってきたが、再生はこれからが本番だ。フジテレビおよび親会社フジ・メディア・ホールディングスで社長を務める清水賢治氏がインタビュー取材に応じた。

――元タレントによる性加害トラブルが発覚してちょうど1年が経過しました。まさに激動の1年だったと思いますが、現在の率直な心境を聞かせてください。

感想が言えるほどの余裕はまだない。「走り続けている最中」というのが正直なところだ。振り返る暇もないほどあっという間だった。

この1年、最初に取り組んだのは、会社としてのコンプライアンス改革とガバナンス改革だ。ようやくある程度の形はできたと考えている。制度面や組織面での導入は一段落した。

今後は実行と運用をどこまで徹底できるかというフェーズに入る。そして今、まさに事業改革という次のステージに移ろうとしているところだ。

「自分たちのやり方が良かったのだ」という思い込み

――一連の問題が発生してしまった原因として、フジテレビにどのような問題があったのでしょうか。

最大の問題は「同質性」が高すぎたことだ。組織が同じような考えを持つ人だけで構成されていたために異なる意見が出づらく、過ちに気づきにくい状況に陥っていた。インナーだけで固まってしまった「組織の硬直化」だ。

背景には、1980年代や90年代の強烈な成功体験がある。「自分たちのやり方が良かったのだ」という思い込みが、時代に合わせたアップデートを阻んでしまった。

そうした硬直した状況を打破するために、思い切って外部の目を入れた。私1人を残して取締役全員が入れ替わるという上場企業として異例の体制変更を行い、取締役会を一新した。

そのうえでダイバーシティーを推進して女性比率を高めるなど、組織の血を入れ替える改革を断行した。力業が必要だった。

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