アメリカが保護主義に邁進する一方で、EUは自由主義を掲げて、インドや東南アジア、大洋州の諸国に接近し、矢継ぎ早に、自由貿易の維持に向けた通商交渉を加速させてきた。2025年9月にはインドネシアとの間で包括的経済連携協定(CEPA)を締結、11月には環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)の閣僚級会合にも出席した。
自由貿易を支持するEUは、2026年も諸外国との間で通商交渉を進めよう。反面EUは、廉価な中国製品の流入に対する警戒感を強めており、特に電気自動車(EV)に関しては追加関税を課すなど、自由貿易の原則と相容れない姿勢も強めている。さらに、グローバルなルールメーカーを志向するEUが諸外国に干渉を強める可能性もある。
EUの「ブリュッセル効果」は非関税障壁か
例えばEUは、通商交渉を通じて、貿易や投資に当たって自らが重視する人権デューデリジェンスや環境デューデリジェンスを義務付けるよう、相手先に提案してくるかもしれない。いわゆるブリュッセル効果の発動を狙っているわけだが、そうしたEUの姿勢こそが非関税障壁であり保護主義だと、トランプ大統領は舌鋒鋭く批判する。
各国で法制度や規制体系が異なるという問題もある。日本は2019年2月にEUと経済連携協定(EPA)を発効したが、貿易や投資の拡大は限定的である。その大きな理由の1つに、法制度や規制体系の複雑さにある。EU内でさえ、規制緩和を求める声は高まっている。自己変革に向けた嚆矢が放たれるか、注視していきたい。
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