まさか欧州の新盟主? メローニ伊首相の異彩 イタリアのアメリカ・中国とのバランス外交

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年明け早々、トランプ大統領の私邸に電撃訪問したイタリアのジョルジャ・メローニ首相(写真:Bloomberg)

ドイツのオラフ・ショルツ首相は1月22日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領を訪問し、会談を行った。その後の記者会見で両首脳は、アメリカで1月20日に就任したドナルド・トランプ大統領と向き合ううえで、アメリカによる通商面での圧迫やウクライナ情勢への影響を念頭に、欧州連合(EU)の各国が結束を強める必要性を強調した。

欧州を中心にロシア、トルコ、新興国のマクロ経済、経済政策、政治情勢などについて調査・研究を行うエコノミストによるリポート

とはいえ、両首脳は、すでに「死に体」(レームダック)である。ショルツ首相は2月23日にドイツで予定される総選挙で下野が必至であり、政権の表舞台から去ることになる。またマクロン大統領に対するフランス国民の支持率は過去最低を更新、昨年末に成立したフランソワ・バイル首相が率いる中道政権も、綱渡りの運営が続いている。

その2人がEU各国の結束を訴えたところで、それが響く関係者は限定的だったろう。一方、欧州委員会を率いるウルズラ・フォンデアライエン委員長は、年明けから肺炎を患ったようだ。快方後も同盟国であるアメリカで1月20日に行われたトランプ大統領の就任式にも招待されず、委員長の年明けはまさに「泣き面に蜂」でスタートした。

ひとり異彩を放つイタリアのメローニ首相

このように精彩を欠くEUの首脳陣の中で、異彩を放っているのがイタリアのジョルジャ・メローニ首相である。メローニ首相は年明け1月4日、アメリカ南部フロリダ州にあるトランプ大統領の私邸を電撃訪問し、大統領らと会談を行った。またメローニ首相は、昨年の11月にトランプ大統領と近い実業家のイーロン・マスク氏とも電話会談を行った。

EUの政治面でのリーダーはフランスであり、経済面でのリーダーはドイツだ。イタリアもまたEUの中核国の1つであるが、かといってフランスやドイツに比べると、存在感は弱い。メローニ首相は、そうしたEUにおけるイタリアの立ち位置を逆手にとって、アメリカとの間で独自の外交を行い、イタリアの国益につなげようとしているようだ。

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