「究極のエコ暖房」と累計1億円のヒット! 《着る暖房・モモンガ》を生み出した"社員3人の会社"が示す「異端ビジネス」の勝算

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

トレンドを追って大量に見込み生産し、売れ残った商品はセールで捌(さば)かれ、最終的には多大なコストをかけて廃棄する。ブランド側は、その在庫リスクを抱えながらも、シーズンごとに追われるように新作の企画・製造を繰り返す。

「洋服はもう、私が作らなくてもいいくらい世にあふれている。廃棄される可能性のある商品を増やしたくないと感じていました」

これは、業界を知り尽くしたからこその、重い言葉である。

小さな会社が見いだした「クラファン」という活路

その後、2019年に独立し、自身で開発した商品をクラファンで販売することにしたのは、税理士からの勧めがきっかけだった。ユーザーとしてクラファンには馴染みがあった坂井社長。いつか挑戦しようと思っていた矢先に、突如コロナ禍に突入する。

「工場も休業し、計画がすべてストップしてしまったんです。そこで、当時不足していたマスクをクラファンで売ることにしました。マスクの息苦しさと不快感を解消したくて『おいしい深呼吸マスク』という商品を作りました」

キャッチーなネーミングと、時代のニーズに合った商品。発表直後にテレビに取り上げられたこともあり、マスクは即完売した。「先が見えなくなった中で、希望を感じましたね」と坂井社長は語る。

マスクの成功を皮切りに、販売チャネルをクラファンに絞って展開。いくつかの不発商品も乗り越えながら、活路を見いだしたのが「モモンガ」の大ヒットである。

モモンガ
電気毛布やブランケットのような「着るコタツ」が流行しているが、「モモンガ」は電気を一切使わない“究極のエコ暖房”だ(写真:株式会社ファーブル提供)

あっと驚く見た目と、兼ね備えた実用性。マスクと同様、クラファンとの相性が抜群によかったこの商品は、ファーブル社を支えるシリーズとして定着した

「クラファンは受注生産モデルだから、製造ロスや在庫リスクがない。自分の理想とするスタイルにぴったりでしたね。今後うちの商品は、すべてクラファンでの販売でいいかなと思っているくらいです」

次ページ今のところ販売チャネルを増やす予定はない
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事